低雑音オペアンプの注意点 | Analog of Magic もみじとクラフトマンのblog

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LME49720やOPA1612といった低雑音オペアンプはすごく魅力的です。

しかしこれらはバイポーラ入力オペアンプであり、バイアス電流が比較的大きいです。バイアス電流が大きい品種はほぼ確実に電流雑音が大きくLME49720で1.6pA/√Hz、OPA1612で1.7pA/√Hzもあります(共に1kHz)。一方FET入力の定番品種であるOPA2134は3fA/√Hzですのでまさに桁違いです。

 

電流雑音は信号源抵抗が0の時は影響がありませんが、入力に抵抗がぶら下がると雑音が生じます。その大きさは (電流雑音)×(ぶら下がる抵抗) です。つまり入力に大きな抵抗が入っていると大きな雑音を生じます。ボリュームの後ろで信号を受けるような用途にはあまり向かないのです。

 

 

実際にこういったバイポーラ入力オペアンプの入力に大きめな抵抗を入れて測定すると雑音は一気に増えます。その値は理論値とよく合っていましたからその雑音も設計に織り込み済みならかまわないのですが、そこまで検討しているものは少ないようです。(設計者に問うても理論値も返答いただけないこないことが多いです。)なおこの雑音は入力にバッファを挿入することで減らすことができます。ただしこれには低雑音・高性能なバッファアンプを設計する必要がありますね。


だからOPA627のような低雑音FET入力オペアンプは貴重だったのです。627はただ高いだけのオペアンプではありません!バイアス電流の面でもFET入力のほうが優れていますがFET入力のほうがバイポーラ入力より電圧雑音が大きい傾向があるので、最終的には用途と設計者の技術的好みによって選択すれば良いと思いますけどね。「なんとなく」が一番良くないです。