イヤホンのケーブルを交換しても音は変わらないと主張しているブログを読んでみました。
筆者さんは理系らしいですし、理系だから説得力があるといった感想も見かけたので気になりまして。
その方の主張を簡潔にまとめると
1.材質やめっきなどが変わっても20kHzまでの周波数特性(ピンクノイズによる)は変わらない
2.ケーブルの抵抗値(原文通り)が変わって、音量の変化を音の変化と感じるのではないか
とのこと。
まず1.。
周波数特性に変化がない根拠として張られていたデータはポータブル用のラインケーブルを携帯音楽プレーヤーからPC用サウンドデバイスへ直接つないでいました。しかし、イヤホンの場合は負荷インピーダンスが低いです。なのでケーブルの些細なインピーダンス変化でも周波数特性に影響が出る可能性は考えられます。
2.は、抵抗値(違和感が強いので以降インピーダンスに置き換える)が変わったことで変化するのが音量だけだと考えている理由がわかりません。ケーブルのインピーダンスが変わるということは、イヤホンのドライバー側から見たときにアンプの出力インピーダンスが変わるということと等価です。つまり逆起電力を吸収するときの挙動が変わりますし、ドライバを止める方向の力も変化します。
また、イヤホンのドライバのインピーダンスは一定ではありませんので、出力インピーダンスが
変われば周波数特性も変化します。たとえば、アンプの出力インピーダンスが高いと最低共振周波数と高域のインピーダンスが高い部分が盛り上がった周波数特性になります。
私はオーディオ機器を20kHzまでの周波数特性だけで論じるのはあまり意味がないと考えていますし、件のブログで根拠としている測定環境も詳細な値や細かい違いがとれるものではありません。これを変わらない根拠とするのは科学しているとは言えません。
また、音が変わる・変わらない以外でも気になるところがありました。それはレジスタンスとインピーダンスの使い分けができていないところと、データに差がないのに音が変わると言ってるのは工学系の大学生であれば疑問持てなければやばいと言っているところ。工学系であれば、あのデータ自体に疑問を持たなければならないと思います。
なお、私はケーブル交換での変化はあると思っていますが、それが必ず知覚できるとは思っていません。メーカーが狙った音を崩すのも嫌なので、極力交換しないようにしています。
もみじさん