関東では多くの河川が解禁となるこの日。
それまでこの日を待ち侘びた多くの釣り人達が思い思いのまま河川に一斉に繰り出すであろう中、我々も鬼怒川に足を運んでいた。
予約していた旅館に前日の夜到着した頃には気分は修学旅行だった。
思えばこの集いの面子、なかなかにいろんな人間が集まっている。
最近一家の大黒柱となった者、バンドマンな者、学生な者、アイドルオタクな者。
それぞれ楽しい生活を送ってはいるが、そこにもう一つ童心に返れる瞬間があったら…。
そんな瞬間を目指して結成した集いなだけに、旅館に着いた時には童心そのものだった。
大浴場を満喫しアルコールを補充した後、ベッド争奪戦の黒ひげ危機一髪を終えて眠りに就いたのはは午前3時頃だった。
2時間後、起床。仮眠としか言えない睡眠時間の中、薄暗い空を見ると普通に雨。
せっかく貴重な休みを使いここまで来たのだからと、日光江戸村や東武ワールドスクエアに行くという選択肢は無かった。
車を走らせ向かったのは鬼怒川本流のとある橋の下。すれ違った釣り人に話を伺ってみると、3回のチェイスがあり、内1匹は釣り上げたとのこと。(何を釣ったのかは聞いていない)
期待に胸膨らませて数回投げてみるも、生体反応無し。
少しずつポイントをずらしていくも、誰一人バイトはおろかチェイスも無いまま昼近くになってしまった。
その場を離れ昼食を摂った後、今度は西鬼怒川のとある橋に車を停めた。
雨も重なり流れが速めの西鬼怒川だが比較的緩やかな流れの場所だ。
数投するも、またも生体反応なし。釣り人はちらほらいる。
注意深く他の釣り人を観察すると、どうやら他の釣り人はヤマメを数匹釣り上げているらしかった。
そうなると答えは明らかで、我々の釣り方が良くないということになる。
それもそのはず。この集い、誰もルアーで河川でトラウトを釣ったことが無いからである。(管理釣り場は一応ある)
経験者がいない中、手探りで釣っているんですもの。でもそれも面白い。釣れた時の感動は一入だろう。
雨脚が強くなる中、めげずにロッドを振りまくっていたその時。
筆者Kのラインに伝わるコツンという感覚があった。
どうせ根掛かりしかかっただけだろうと思い何も考えずにリールを巻き続け、スプーンが水面から浮かび上がった瞬間。何かがそこにくっ付いていた。

ばっちりピントがずれているが、カジカだ。
経験の浅い自分は生でカジカを見たのは初めてだった。
サイズは小さいが、種によっては絶滅危惧種にも指定されているとされるカジカを釣ることが出来てまた少し童心に返ることが出来た気がする。
優しく針を外して元いる場所に返してあげた。
雨脚が更に激しくなってきたので今回はここでゲームオーバー。
なんとか坊主を免れてホッとしたが、対象魚は今回も釣り上げることは出来なかった。
悔しさと共に次回は必ず…と胸に刻んで鬼怒川を後にした。
雨の中だったが幸いにも事故も無く風邪をひくことも無く無事に終わったが、お気に入りの車(今回は筆者Kの車で行った)の内装が泥だらけになり、夜な夜なハンドクリーナーと雑巾を片手に車内を掃除していたのはここだけの話。
やはり雨の日は家でじっと本でも読んでいた方が良いのかもしれないと少し思った2015年の初釣行となった。