干していたシーツを
取り込もうとしていたとき
「らんちゃ~ん、飛んで行かないでね~」
と部屋の中にいたダイキがさけんだ。
風が強くて
シーツは
ばさばさと音を立てて
はためいていた。
大人がこの程度の風で飛んで行くはずはない
飛ばされるなら
手から離れたシーツの方。
シーツ飛ばされ注意報だ。
ダイキのこの言葉を聞いて
もしかしたら、飛べるかもしれないという妄想が広がった。
「飛ばされないでね」じゃなくて
「飛んで行かないでね」だから。
もうひとつ、
心から私が飛んで行かないようにと
心配しているダイキの気持ちが
ほほえましくて、愛おしかった。
こどもは心配事がないようで
実は大人がすでに麻痺して気づかなくなってしまっている
大切なことを
いっぱい心配してくれているんだってこと。
ありがとう、ダイキ。