百日草

リハビリ病院の中庭に
百日草が咲いている
カラカラに乾いた土の八月
花びらに泥がついている


100日間咲き続けるから百日草と
母に教えられた
その時幼い私は
くたびれ汚れても咲き続けるこの花を
プライドのない
みっともない花と決めつけていた


長く咲くなら造花でもできるの


それでも私は花 生きている
花を見つめていたら声がした






花壇の向こうの
渡り廊下を体をゆがめながら
患者さんが歩いて行く
装具をつけ杖をついてゆっくりと


それでも私は人間
生きている

足元の花からまた
声がする

ごめんなさい
ゆらゆらと涙で花が揺れて行く


誰がこの花を植えたのでしょう
バラでもなくコスモスでもなく
この百日草を

涙が溢れながら
杖をついた人も泥の花も
美しく愛おしいと感じた夏
私は少し看護の心を知った




その時私は看護学生の19歳だった







私の古い過去記事に
短いコメントをいただきました

お返事として
若かりし看護学生の時の詩を
のせました


きれいの基準は人それぞれですね

今日も元気で頑張りましょうおねがい