ダム湖として有名なこの湖の湖畔苑池。
ハニー父がバイクの集会で来ているということで、
ハニーを連れて息抜きがてら訪れてみた。
広々とした公園を歩き、緑の中で深呼吸。
1時間ほどの休憩を楽しんだ。
自宅に戻り、ハニーはバイトへ、
俺は仕事を再開した。
ちなみに俺は、椅子の上で胡坐をかく癖があり、
右足のくるぶしの下には、くっきり胡坐ダコができている。
その部分に、微かなかゆみを感じた俺は、
自分の右手を患部にふれさせる。
指先に感じるちょっとしたウェッティ感。
右手を視界に戻した俺は、愕然とする。
セクスィな指先に、艶しく光る赤の液体。
慌てて視界を下に向ける。
とてつもない跳躍力を誇っていた俺の両足首が、
2色の赤に染められていた。
まだ初々しさの残る少女のような鮮やかな朱。
時間の経過で熟しきった果実のような深い臙脂。
藍染のジーンズは血染に変わり、
靴下も、そして椅子までも、
俺の貴重な血液で、カピカピになっていた。
もちろん俺は松田優作ばりに声を張り上げる。
なんじゃこりゃああああああああああ。
1Fに降り、シャワーで流す。
ジーンズと靴下は即洗濯。
すると、ご母堂様が近寄りこういう。
ヒルにやられたね。
え?ヒル?
なにその前近代的な生き物、おいしいの?
消毒をたっぷりした後、2Fに戻り、
グーぐる先生に問い合わせてみる。
「ヒルはヒルジンという血液を凝固させない汁を
ぶっかけてからちゅーちゅーする。」
処置が良かったためか、右足からの出血は止まった。
ところが、左足の1箇所だけは、翌朝まで、
微量の血を流し続けていた。
神々が送り込む手先たちは、
秋になり、その活動規模を縮小した。
本年度は、15勝3敗といった成績。
神々にとって、強敵な俺に、
彼らは全く別の角度からアプローチを試みたのだ。
通常イメージ、ヒルというと、
まずは、食いつかれてるところを剥がす作業から始まる。
グーぐる先生もそう言ってた。
そういえば、映画「スタンド・バイ・ミー」でもそうだった。
しかし、今回、彼らの姿は全く見えなかった。
俺から新鮮かつ美味な血液を奪い、
奪うだけでは飽き足らず、
永遠に、じわじわと大量失血をさせようとした。
そして、姿すら現さず、消えた。
神々が強敵で難敵な俺に向けた新たなる刺客。
サイレントキラーだけでは不十分と、
彼らも長年人類の敵とされた刺客を用意してきた。
これが噂に聞く、サイレント・ヒルか。
これから、紅葉狩り、BBQの季節。
身を引き締めて、気を引き締めて、
完全防備で臨もうと思う。
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