おじいちゃんは厳しかった。
保育園の頃、私は頬を叩かれた。よく怒られた。
窓の向こう側で私を睨むおじいちゃんの顔は今もずっと覚えてる。

あの頃からは、おじいちゃんの世界に私は居ないことになっていた。朝の挨拶をしても、言葉を掛けても、おじいちゃんはあの顔をしたままで、言葉を返さなかった。

お前は頭がおかしいから病院に行けと言われた。お前は恥だから平日の昼は外に出るなと言われた。家の電話に出ると怒られた。お前は悪いやつだからお土産は無い、と酔ったおじいちゃんは言った。

寂しかった。寂しかったけど、当然の報いだと思った。だって私が悪いのだから。おじいちゃんはもういないけど、生きてる間に謝りたかった。出来損ないで本当にごめんなさい。