大家ワナビーです。

 

日々ネットで物件を探す日々に悶々とする中で、

やっぱり外に出る(人に会う)って大事だなぁと感じた話です。

 

先日、アポを入れていた物件の見学に行ってきました。

アポ入れたのは2週間以上前で、

そこまで魅力的には思えなかった物件でした。

 

それも業者に送ってもらった

「登記簿」には怪しげなにおいが…。

何度も抵当権が設定され、

さらに自治体に差し押さえも受けている

過去があるのです。

 

知人に聞いてみましたが、

こういう登記簿はあまり見たことがないらしく、

調べてみないとよくわからない、

ということでした。

 

気乗りはしなかったものの、

業者さんに会うためと言い聞かせて出かけました。

 

 

築47年の物件は予想通りの昭和の古びたアパート。

「これは無いわ…」

と正直に感じました。

 

とそこに、予定時間少し前に業者さん到着。

私は買っておいた缶コーヒーを差し入れようとました。

すると…

「あ、オーナーさんご紹介しますので、お店をやってらっしゃるからコーヒーはそこで飲めますので」

と、いきなりオーナーの紹介!

これは、どういう展開?と多少尻込みするも、

言われるがままに、物件の1Fでお店を開くオーナーの店へ。

 

お店も昭和の喫茶店かスナックのような佇まいで、

そこにいらっしゃったのが、オーナー兼店のママ?の女性。

 

自己紹介もほどほどに、

物件(店の中)と部屋を内見させてもらいます。

ひとつの部屋は、家具やソファーなど残置され、

間取りも風呂も、ザ・昭和!やっぱりこの物件ないわーと思わされました。

 

しかし、その後、

お店に戻り、コーヒーを頂くきながら

ママの身の上話をあれこれ聞くことになると、

これが実に興味深い。

 

私は仕事柄、人の仕事や生い立ち、人生について話を聞くことが

これまで多かったのもあり、

こういう個人の生い立ちストーリーってもともと聞くのは好きです。

 

ママの話を要約すると、、、

・地元を出て東京で家族(夫と子どもあり)で過ごしていた

・その後離婚してバツイチ子持ちで地元に戻る

・ママの母親が将来のためにアパートを新築

・親族に不動産に詳しい人がいたため?その人にお任せで土地から

・実は、坪5千円の土地を坪5万で購入するなど、業者?のいいようにされていることが後々わかった

・数千万?の借り入れを返済するため複数の金融機関から借り入れ

・市から差し押さえ(ママ曰く、固定資産税の納税期限の日に支払ったが税務署の手違えで差し押さえされてしまったそう)

・子育てしながら借金を返すためにお店を始める

・宝石商兼デザイナーとしてビジネスを始める

・その後40代で再婚

・再婚した男性は地方の村出身の網元の息子、酒好きだったのもあり、宝石商のビジネスの店をスナックに改装して夫とともに店を切り盛り

・母親が寝たきりになり、店と介護の掛け持ち

・3年前に再婚した夫も肺がんで亡くす

・実は夫のがんが発覚スル前に売却を検討していたが、夫の看病でそれどころではなくなった

・夫が亡くなり、自分も70歳になり将来のことを考えてこのアパートの売却に踏み切った

 

話を聞く前は「古びた昭和のアパート」しかも資金繰りに難航する曰く付きの物件、と感じていました。

しかし、ママの半生を聞くと(しかもすごく明るく話してくれたので悲壮感がない!)見え方が変わってくるから不思議なものです。

 

業者によると、主要道路に面していて、一応駅まで10分ほどという立地では土地値は悪くないとのこと。

ママ一家のストーリーが染みついた物件の価値をどうみるか?

 

やっぱり、不動産の価格は有って無いようなものっていうことだなぁ

と実感した週末でした。