注:この作品は原作を元にした二次創作です。

午後5時を少し過ぎた頃、池谷は拓海の運転する86に同乗して国道18号線で軽井沢方面に向かっていた。

池谷「なあ拓海! 突然だけど、拓海は蕎麦は行ける口か?」

拓海「蕎麦ですか? 全然大丈夫すよ!」

池谷「そうか、実は軽井沢に俺の知ってる和食レストランがあって、そこの蕎麦が美味いんだよ! じゃ、今日の夕食はそこで決まりだな!」

拓海「いいですよ・・・でも、俺はてっきりこの先にあるおぎのやで飯食うものかと・・・」

池谷「はっはは! バカだなあ! 地元なのに知らないのか? おぎのやって5時には閉店なんだぞ!」

拓海「5時!? はっや!! そうなんですか! 随分と閉まるの早いんですね! まるでヨーロッパのお店みたいだ!」

池谷「あそこは観光客メインだからな。 昼間行って修学旅行中の学生連中にでも当たったらむちゃくちゃ混んじゃってて大変だぞ!」

拓海「へ~、地元でも結構知らないことってあるんですね!」

池谷「ま、拓海は昔からそういうとこ結構ボケてたからな・・・おっ、そろそろそのおぎのやを通過するぞ! ん!? あ、あれは!?」

拓海「どうしたんですか、池谷先輩? あ、右側の駐車場に改造されたシルエイティが置いてありますね!」

池谷「いや、そこじゃなくてその先だよ!」

拓海「 ん? 赤い軽自動車がボンネット開けて止まっていますね! 故障かな?」

池谷「拓海悪い!! 今直ぐその駐車場へ入ってくれ!!」

拓海「えっ!? わ、わかりました!」

キキー、カッチカッチ、キュ!
拓海は池谷に言われるまま、右側の駐車場へ入って行った。 池谷は拓海が駐車すると、すかさずドアを開けて赤い軽自動車の方へ走って行った。

池谷「ま、まさか!!」

池谷が軽自動車の近くまで来ると、その軽自動車のドアが開いてジーパンを履いた長い髪の女性らしき人物が降りてきた。しかし、後ろ向きだった為、顔は判らない。

池谷「ハアハアハア・・・す、すいません! ど、どうかされたんですか?」

すると、その女性らしき人物は長い髪をかき上げて、こちらを向いた。

「あらぁ~! 誰かと思ったら池谷さんじゃないの~!!」

その人物は池谷先輩の親友の健二だった。わざわざ赤い軽自動車を借りてきて変装までして待ち伏せしていたのだった。

池谷「ドヒャー!!! て、てめえは健二じゃねーか!! こんなとこで何やってんだー!! しかもご丁寧にカツラまで被りやがって!!」

軽自動車から降りてきた女性らしき人物はカツラで変装した池谷の悪友の健二だった。

健二「あっはは!! 池谷、まんまと掛かったな!! 驚かせてワリいな、実は樹から絶対この店を通るって聞いたから、高速で先回りしてちょっと驚かせてやろうかと・・・いわゆるサプライズってやつだよ!!」

池谷「て、てめえ、この健二!! いくら昔からの親友だって、やっていいこととやっちゃいけないことってもんがあるだろうがー!!」

健二「ちょっちょっ、池谷ギブギブ!! 悪かったて!!」
池谷はすかさず健二をヘッドロックに掛けた。
とその時、軽井沢方面から来た紺色のシビックハッチバック(FK7)が駐車場に入ってきて池谷の近くで止まった。

拓海「池谷先輩!! なんか後ろに車が来ましたよ!!」

池谷「何!? 誰だよ、こんな時に!!」

カチャ、パカッ、スタッ!
シビックのドアが開くと、スリムジーンズを履いたスラリとした女性が降りてきた! そして池谷の方を向くと大きく 目を見開いた。

「あ~、やっぱり池谷さんだ!! それとあなたは・・・拓海君!?」

池谷「えっ!? ウ、ウソ!? 君は・・・ま、真子ちゃん!?」

池谷はその場で30分程気を失ってしまった。というのは嘘で昔と違って3分程だった。

健二「こりゃあ、驚いたぜ!! 真子ちゃんに扮して待ち伏せしてたら、本物ご登場かよ!!」

真子「えっと、あなたってどなたでしたっけ?」

健二「ガクっ!! 真子ちゃん、そりゃないぜ~!! 俺は池谷の親友で健二だよ!?  昔、みんなでプール行ったじゃん!!」

真子「あ~!! 思い出した、け、健二さんね! ごめんなさい!」

健二「ま、昔のことだし、俺なんか忘れていてもおかしくないよな・・・トホホ」

拓海「健二先輩、元気出してくださいよ! そ、そうだ!! 折角、昔の知り合いが久しぶりに会ったことだし、みんなで夕飯食べに行きませんか? 真子さんも行きますよね?」

真子「ええ、今をときめく拓海君に言われたら断れないわね! 池谷さんも良いでしょ!」

池谷「はっ!? ど、どうしたんだ・・・」

健二「おいおい池谷、お前また気を失ってたのかよ・・・相変わらずだな、俺の方じゃなく左の方見てみん!」

真子「お久しぶり、池谷さん! よろしかったら私と一緒にお食事はいかがですか?」

池谷「あわわわ・・・本物の真子ちゃんだ!? まさか夢じゃないだろうな? 拓海、ちょっと俺のほっぺをつねってくれ!」

健二「まったく・・・いい歳こいて、子供かよ!」

真子「ふふふ・・・(相変わらずカワイイ!)」

拓海「真子さん、見ての通り池谷先輩はフニャフニャなので無理やりにでも俺が連れて行きますよ!」

池谷「バッ、バカにするな! 俺ももう大人だっちゅうーの!!」

健二「そうだよな~、この頭だもんな~!!」

パカッ!
健二は池谷が被っていた帽子を無理やり取ってしまった。
ピカー!!

拓海「うわっ!? 池谷先輩・・・」

真子「・・・ 大丈夫よ、池谷さん! 私はどんな姿になったって、えっと・・・池谷さんの事が今でも大好きだから・・・あっ、言っちゃた!!」

池谷「・・・」

健二「おー!! 池谷、聞いたか!! 真子ちゃんが今でもお前の事が大好きだってよ!! ってアレ!?」

拓海「健二先輩、池谷先輩がまた気を失ってます!!」

健二「またかよ~!!」

アハハハハ!!!
池谷を除いてその場が笑いに包まれた。
その後、池谷は目を覚まし、真子ちゃんのシビックハッチバックに全員乗り、軽井沢の和食レストランで昔の話に花を咲かせるのだった。
尚、この出会いがきっかけで池谷先輩と真子ちゃんは交際を始め、3か月後にはついに結婚にこぎ着け、1年後には子供も産まれて二人は幸せに暮らしたのだった。

終わり。