トヨタ86とMFGエンジェル(左から真美(2番)、恋(7番)、京子(3番))

注:この作品は原作を元にした二次創作です。

日本のみならず世界の走り屋達の心を熱くさせ、奇跡の86復活まで成し遂げた伝説の作品、「イニシャルD」
この物語は、それから20数年後の世界を描く「MFゴースト」において、あまり話題にならない前作のキャラクターにスポットを当てたものである。

季節外れの暑い残暑が過ぎ、すっかり秋めいて来た10月のとある日、群馬県高崎市内のあるガソリンスタンドでは、店長の池谷と店員の樹が暇を持て余しているのか、立ち話をしていた。

樹「池谷先輩、今日も暇っすね~!」

池谷「おい樹、いつも言ってるだろ! その池谷先輩って言い方は止めてくれよ! 俺は仮にも所長だぞ!」

樹「え~、じゃあ、何て言えばいいんすかね~?」

池谷「ん~そうだな~・・・所長、いや違うな・・・そうだ! イケメン所長とかどうだ?」

樹「ズルッ!! も~、冗談は「頭」だけにしてくださいよ!!」

池谷「おまっ、そこは「顔」と言うのがお決まりだろ!! いや、顔も面白くない・・・たく、人が一番気にしていることを・・・樹は今度のボーナスは無しだな!」

※池谷は若ハゲが進行しています。

樹「えっ!? マジで!! ただでさえ少ないボーナスが~!! スイマセンでした~!!」

樹は池谷に深々と頭を下げた。

池谷「冗談だよ! でも「ただでさえ少ない」って言うのは余計だぞ!」

樹「スイマセン! あ~、良かった~!! 池谷先輩はマジでやりかねないからな~・・・ブツブツ」

池谷「ん、何か言ったか?」

樹「 あ、いや何でも無いっす! あっ、そういや池谷先輩、もとい池谷所長って、MFGエンジェルで誰が好みっすか~?」

池谷「唐突になんだよ! ん~そうだな~・・・7番ちゃんも良いけど、俺は京子ちゃんかな!」

樹「京子ちゃんですか? あれぇ~池谷先輩って巨乳好きでしたっけ? このスケベ!!」

池谷「バッ、バカ言ってんじゃねーよ!! 俺はな、京子ちゃんの大人っぽい雰囲気とかが好きなんだよ!!」

樹「冗談っすよ!! 大人っぽいっと言えば・・・真子ちゃん、最近テレビの車番組で見なくなりましたね。 どうしちゃったんだろ? もしかして、どっかのイケメンとかと結婚しちゃったりして・・・」

池谷「おい、樹!! 冗談でも言って良い事と悪い事があるぞ!! 真子ちゃんはな~、今はユーチューブで活躍してんだよ!! この間なんかな~、ドリキンと共演をしてたんだぞ~!!」 

樹「そうなんですか~、すげえ!! 流石、年期の入った真子ちゃんストーカーの池谷先輩だけあって真子ちゃんの事何でも知ってるんすね!!」

池谷「ストーカー!? ゴゴゴ・・・樹てめえ、俺を完全に怒らせたな!! お前は今日でクビだ~!!」

樹「え~!! 今のはウソですよ~!! そんなクビだなんて、母ちゃんに殺される~!!」

樹は池谷に許しを請うようにしがみついた。

健司「お~い!! お前らいつまで漫才やってんだよ!! お客さんが来てるぞ!!」

池谷の親友である健司が呆れた顔で 二人とは少し離れた場所に立っていた。

樹「健司先輩!! いつからそこに居たんすっか!!」

池谷「樹、それどころじゃないだろ! 早くお客さんの所へ行けよ!」

樹「あっ、そうだった! いらっしゃいませ~!! お待たせしました~!!」

樹が給油機へ走って行くと、白いGR86が止まっており、運転席側の窓がウィーンと音を立てながら下がった。


客の男「ハイオク満タン、カードで・・・」

客の男はそう言うと、掛けていたサングラスを外した。

樹「はい、かしこまりました!! ん、あれ!? え、まさか・・・」

客の男「俺だよ、俺!! 久しぶりだな樹!!」

樹「た、拓海~!! 何年ぶりだよ~!!」

拓海「えっと・・・15年ぶりくらいかな?」

タッタッタ・・・池谷と健司がそこに走ってやってきた。

池谷「拓海じゃないか~!! ほんと久しぶりだな!! 日本に帰って来てたんだな! 知ってるか、お前の噂はMFGフリークの間でも持ちきりなんだぞ!!」

拓海「えっ、本当ですか? 何でだろう? 今は何のレースにも出て無いし・・・」

健司「ほら、お前さ~、イギリスの何とかと言うレーシングスクールで、片桐夏向(カタギリ・カナタ)の師匠やってたんだろ!! 今MFGの解説やっている小柏が感激してだぞ!!」

拓海「へ~! そうだったんですか! で、その片桐夏向って誰ですか? 聞いたこと無いんですけど・・・」

ズコッ~!! その場にいた全員がコケた。

池谷「お前、 レーシングスクールの講師やってて  MFGの片桐夏向を知らないのかよ!! 拓海、ハイオク飲むか~!!」

樹「いにしえの昔・・・どこかで聞いたことあるようなフレーズ・・・」 

健司「お前ら進歩ねえな~・・・多分、拓海が分からないのは、向こうじゃ片桐夏向は本名を名乗ってたからじゃねえのか!!」

※片桐夏向は本名では無く、日本人の父親がMFG出場を通して判るように、レースでは父方性を名乗っているとのこと。

樹&池谷「それだ~!!」

拓海「思い出しましたけど、カナタって言う名前の生徒がいましたね。 だけど、ラストネームはカタギリでは無かったと思いますけど・・・」

樹「そいつだよ! 今、片桐夏向って言えば、日本じゃ大人気なんだぞ! 本名はな、えーと・・・何だっけ?」

健司「おいおい! ま、樹じゃ、しかたねえな!」

樹「じゃ、健司先輩は間違えず言えるんですかー!!」

健司「そりゃあ、カナタ・・・ルイヴィトンだろ!!」

ド~!! 今度は拓海も含めてずっこけた。

拓海「確かカナタ・ リヴィントンだと思います」

健司「そうそう、カナタ・リヴィヴィ・・・言いづらいんだよ!!」

池谷「はは、ま、本名なんか良いじゃないか! 拓海、今晩暇か? 昔の仲間も揃ったことだし、昔話に花を咲かそうじゃないか!!」

拓海「それが、今日は都合が悪くて・・・明日の晩なら良いですよ!」

池谷「おお、そうか! じゃ、明日の晩な! 早速だけど連絡先教えてくれないか?」

拓海「分かりました。 でもその前に 給油お願いします」

池谷「あー、そうだった! 悪い悪い!」

拓海は給油が終わると、樹に連絡先が書いたメモを渡した。

続く。