9日目からは、いよいよ南イタリアらしさがぐっと濃くなる区間に入ります。
メジャーどころを少し外し、ニッチなビーチリゾートを求めてまず向かったのがガッリーポリです。
バーリから列車でレッチェへ入り、そこからディーゼル列車に乗り換える流れは、車両の雰囲気も含めて「南に来たな」と実感させてくれます。
終点ガッリーポリで下車し、旧市街の入口に近い宿、Palazzo Maestroへチェックインします。
Palazzo Maestro
荷物を置くや否や、向かったのはイオニア海。
Spiaggia della Puritàは旧市街のすぐ脇に広がるビーチで、城壁と海が同時に視界に入る少し不思議なロケーションです。
ティレニア海とは色味も透明感も異なり、どこか穏やかで包み込むような青が印象的です。
タオルミーナ以来、実に5年ぶりのイオニア海ということもあり、泳ぐというより「海の中に身を置く」時間をしっかり楽しむ感覚になります。
ビーチからの帰り道、ちょうど可愛らしいフードバンが出ており、迷わずグラニータを一杯。
シチリア発祥の冷菓ですが、プーリアでも夏の定番として親しまれており、火照った体を一気にクールダウンしてくれます。
宿に戻ると、オーナーから「暑かったでしょう」とばかりにビールの差し入れがあり、この距離感の近さが小さな町の宿ならではだと感じます。
夕暮れどきには、旧市街の散策へ。
ガッリーポリは“美しい町”を意味するギリシャ語に由来する名を持ち、古代ギリシャ時代から港町として栄えてきた土地です。
Confraternita di San Giuseppe e della Buona Morteは信徒組織の礼拝堂らしい素朴な佇まいで、観光地化されていない静けさが心に残ります。
Confraternita di San Giuseppe e della Buona Morte
Duomo e Curia Vescovileは町の中心的存在で、外観は質実ながら内部にはバロックの装飾が控えめに施され、海辺の町らしい落ち着きがあります。
Duomo e Curia Vescovile
Chiesa Santa Maria della Puritàは、まさにビーチに面して建つ教会で、信仰と生活、そして海が地続きであることを象徴するような存在です。
Chiesa Santa Maria della Purità
宿へ戻ると、今度は可愛い猫ちゃんがお出迎え。
この流れだけで、すでにガッリーポリへの好感度がかなり上がります。
気分よく向かった夕食は、オーナーおすすめのMatre Ristorante。
Matre Ristorante
ワインはVallone Tenuta Serranova Sususmaniello Rosé 2018をチョイス。
Vallone Tenuta Serranova Sususmaniello Rosé 2018
Susumanielloはプーリア土着の黒ブドウで、近年再評価が進む品種ですが、ロゼにすると果実味と軽快さが前面に出て、魚介中心の食事と非常に相性が良いです。
アンティパストのCalamaretti saltati con insalata di verdureは、小ぶりのイカをさっと炒めた一皿で、素材の甘みが素直に伝わります。
アンティパスト
続くRavioli gamberi, zucchine, pomodorini e mentaは、エビの旨味にズッキーニとミントの香りが重なり、南の暑さに不思議と合う軽やかさがあります。
プリモ
セコンドのTagliata di tonno con pomodorini, rucola e cacioricottaは、表面を焼いたマグロにトマトの酸味とルーコラの苦味、さらにカチョリコッタというプーリア特有の熟成チーズがアクセントとなり、土地の個性が一皿に凝縮された印象です。
セコンド
ドルチェのSpumoneは、層状に固めた伝統的な冷菓で、どこか懐かしい甘さが食後をやさしく締めくくります。
ドルチェ
海、旧市街、教会、猫、そして食事。ガッリーポリ初日は、この町の魅力を一通り味わわせてくれる、非常に完成度の高い一日となりました。












































