「先輩ってさ、いつもそうなの?」
「なにが?」
「さっきも言ったけどさ、カノジョじゃなくても、誰か具合悪そうだったら送ってくれたり、階段登るの辛そうだったら手を引っ張ってくれたり、電車で周りからガードしてくれちゃったりとかするの?」
先輩はうぅーんって困った声を上げながら首に手をやって、しばらく考えてから口を開いた。
「誰にでも、じゃねぇし。てか、カノジョなんていねぇし。仲いいヤツが具合悪そうだったら、心配すんのが当たり前だろ?」
「……カノジョいないって言った?」
「今度はそこ?」
お前の引っかかるポイントがわかんねぇわって、また先輩がため息をつく。
今はそこを突っ込むところじゃないって自分でもわかってるけど、でも、そこがいちばん引っかかっちゃったんだから仕方ないじゃん。
「……だって俺、見たよ?昨日……」
ちょうど通りかかった公園の前。
昨日の夜、先輩はここで……
俺の視線を追った先輩が『マジか』って小さく呟く。
「……あれ、バイト」
「は?」
「いや、だから……金もらってデートすんの。キスはまぁ、オプションだけど」
「……あぁー、なるほどー!……って、なるわけないじゃん!なにそれ!
てか、先輩、そんなバイトしてんの?!サイテーじゃん、それ!」
ぶん!と振り回したカバンを先輩がひょい、と避ける。
「お互いそれで納得してんだから問題ないだろ?それとも、毎日追っかけに来てるあーゆー女子たちに片っ端から手ぇ出してる方がマシなわけ?」
「……うわ……」
先輩の視線を追って振り返ったら、女の子たちが数人、こっちの様子を伺うように立っていた。
「気がついてなかった?」
「もしかして……学校から……?」
「そうだろうな、きっと」
なんていうか、ほんとに……
漫画とかドラマみたいなことって本当に現実にもあるんだなって思うのと同時に、ちょっと怖くなって、毎日こんなことされてる先輩が可哀想って思ってみたりして。
「……モテる人は大変っていうのもわかったし、あんなことする女の子たちのこと好きじゃないのもわかるけど、誰彼構わず手を出すなんて絶対ダメだし、お金もらって色んな女の子とデートすんのもダメだよ」
「なんでお前にそんなこと言われなきゃなんねぇんだよ」
今から俺が言おうとしてることだって、先輩にしてみたらドラマなんかよりもありえないことなのかもしれない、けど……
「なんでって……先輩が今朝言ったんでしょ?俺が先輩のもんだって。俺が先輩のもんなんだったら、先輩も俺のもんでしょ?だから、ダメだよ」
「はぁ?」
だけど、こんな毎日だったら、絶対にこっちの方がいいに決まってる、から……
「わざわざ反対方向の電車に乗って送ってくれるくらい俺のこと好きなんでしょ?だから、俺だけにしたらいいじゃん」
「はぁ?!お前、何言って……」
こんなこと言うつもりなんて、さっきまで俺だって全然なかったけど……
ぴょん、と先輩の前に飛び出した俺に『うぉ』ってびっくりした先輩がちょっと後ずさる。
「なんだよ」
「先輩、俺とリア充しよ!」
俺が放った言葉に、さっきまで睨むように俺を見ていた先輩の目がまん丸に見開かれた。
お久しぶりすぎてごめんなさい( ̄▽ ̄;)
今年中にお話2つとも終わらせたかったのに気がついたら大晦日だったー( ̄▽ ̄;)
年末のご挨拶は、また後ほど改めて……( ´ ▽ ` )ノ