「はいこれ。」
「…なにこれ。」
付き合って3年になる彼がいる。
彼は面倒くさがり屋で、でも毎日働いて、ちゃんとするところはちゃんとしてくれる。
でも、いつもつまんなそうな顔をしている。
そんな彼が、小さい箱のような、夢が詰まってそうなものを差し出してきた。
「確か、3月14日だろ。」
不愛想にそう言っているのは、照れているからだろう。
バレンタインデーの日、私は彼にチョコを上げた。
毎年のことだ。
だが、こうやってホワイトデーにお返しを貰うのは何年ぶりだろう。
不思議に思いながらそれを受け取り、箱と彼を交互に見ていた。
「…なんだよ。」
珍しく鋭い目つきを私を見てくるけど、彼の耳は赤い。
「いや、…なんで?」
「……お前甘いもん好きじゃん。」
明らかに今考えたであろう理由を押しつけてきた。
「うん、好きだけどね、嬉しいんだけど…」
「じゃあ食べとけな。」
ぐりぐりと私の頭を強く撫でて部屋に戻ってしまった。
えー…、なにこれ。
「……変なの。」
箱をしばっている少し形が崩れた赤いリボンを解き、箱を開けてみる。
意外に簡単に開いた。
…わ、可愛い。
そこには彼のセンスとは思えないような可愛らしい小さいチョコが並べてあった。
「…ん?」
箱の隅に、小さい不自然な影があった。
気になって、そこを弄っていたら…
「………!」
その影の正体が分かり、私は無意識に彼の部屋へ駆け込んでいった。
「うわっえっ、なにっ」
部屋に入って、ベッドにダイブするように彼に後ろから抱きついた。
「ありがとう、これ。」
彼に開いた箱を見せると、みるみるうちに顔が赤くなっていった。
それがおかしくて、可愛くて。
「…ははっ顔真っ赤。」
「うっるせ!照れるだろそりゃ!」
そう言ってひっぱたかれた。
でもそれも痛くなかった。それぐらい幸せな気分だ。
「一人で行ったの?」
「…大変だったんだぞ。指のサイズとか、全然知らなかったし。」
怒ってるのか照れてるのかわからないような顔で言う彼。
あー、幸せ。
「…幸せっていいねぇ、ね?」
「……知らないよ。」
また照れ隠し。
「あとで友達に今のこと言うね。」
「あー嘘。幸せっていいなー凄いなー。」
棒読みかい。
「…このプロポーズは、将来話すのが恥ずかしくなるベタなパターンだよね。」
「……それは薄々俺も感じてたよ。」
…ふふ。
これからもずっと傍にいてください。