え、ここ?
そこはTHE昭和って感じの、お世辞にもオシャレとは言えない定食屋
昨日のキラキラ王子様と今日のダル着&定食屋のギャップにキョトン顔をしているだろうあたしなんてお構いなしの駿さん
「いらっしゃい。お?お連れさんがいるなんて珍しいねぇ」
『そ、俺のイイ人。日替わりふたつね』
目の前で繰り広げられた言葉のキャッチボールにハテナしかない
『あの・・・駿さん』
『あ、日替わりじゃない方が良かった?』
そういうことじゃなくてさ
『美唯子さん、今日はず~っと鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるね』
『だって・・・あの・・・』
『あ、俺?今日は店の定休日』
聞きたいことと駿さんの言葉が全然違っていて
ここの店主と駿さんみたいなキャッチボールにならない
『あ~、んまい!やっぱり定食は焼き魚に限るね』って
わんぱく少年みたいに無邪気に笑う駿さん
その笑顔があたしの胸の奥の方にある何かを刺激した
『竹内さん、坂本くん、ちょっといいかな?』
ひとつ先輩の坂本さんと翔ちゃんのデスクの前に立つと
『明日、太陽サービスさんに同行してくれ。そろそろふたりに担当を任せようと思っているからそのつもりで頼むよ』
『はい』『はい』
席に戻ると『櫻井課長から引き継げるなんて嬉しいよな。頑張ろうな』
坂本さんがガッツポーズで言った
『みー、太陽サービスさんのこと頑張れよ』
『翔ちゃんそんなことひとことも言ってなかったからビックリよ』
『俺はプライベートに仕事を持ち込まないからな。それにふたりでいる時はもっと大事な話したり、会社じゃできないコトしたいしな』
並んで座っていたソファにそっと倒されると
つけっぱなしのテレビの音よりも耳元にかかる翔ちゃんの甘くて切ない吐息だけが大きく聞こえた