Diggin' deeper
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 会いたい、と言ったことはない。普段はメールも電話もしない。一度だけ、ひと月ほど会えなかったときに彼からメールが来たことがある。仕事の都合で会えないと返信した。

 会う約束をしていた。前回の逢瀬は時間がなかったから、その続きをしようねと、またねと言って別れた日から数日。前回の余韻を引きずりながら、その日は朝から仕事中も身体をあつくさせる。1時間の残業を終えて、携帯を開くと、都合が悪くなった、と。

 彼は友達でも恋人でもないから、会えない時間が愛を育てることはない。会えない時間はお互いの生活がある。それでもたまにふと思い出してため息をつく。身を焦がすような恋しさや、泣きたい程の寂しさはないけれど、昔のアイドルの歌のように、甘い寂しさを味わうのだ。
 数ヶ月前から、何度か体を重ねているひとがいる。いくつか年下の奥さんと、まだ数ヶ月の赤ちゃんがいるひと。

 お互いに本気であるわけはないのはお互いに解っているとおもう。けれどもやっぱり何度もキスしたり、からだをなでられたりしていると情がわいてくるし、だんだん自分の一部になってくる。
けれど私は彼と一生一緒に暮らせるほど彼を理解していないし、たぶん解り合える程には私たちは似ていない。音楽の趣味も、服装も違う。たぶん価値観も違う。瀬戸内寂聴氏の言葉を借りるなら、ビフテキを食べるように、たまに身体を重ねて楽しむ時間を共有したいと思い合えるだけ。

 それでもひと月会わなければしばらく会ってなかったね、たくさん一緒にいようねと言われて嬉しくなる。私はさみしいおんななのかしら。