ある夕刊紙で芸能界史が連載されており、今は五木ひろしの履歴が紹介されている。

彼は、デビューしたものの売れず、流しの歌手をしていたが、いわゆるオーディション番組に出場して勝ち抜き、再デビューしたことは、60才以上の人にはよく知られている。

 

その番組は全日本歌謡選手権といい、1970年から1976年まで放送されていた。

この番組の売りは審査員の厳しい批評で、ダメな出場者には容赦ない言葉が浴びせられた。特に淡谷のり子は厳しいことで知られていた。

この番組で10週勝ち抜くと、デビューのチャンスが与えられる。勝ち抜くと言っても、対戦形式ではなく、絶対評価方式である。

 

五木ひろしは、この番組で一度も厳しいことを言われずに勝ち抜いたらしい。

私自身、この番組は途中から見だしたので、五木ひろしの出場時は見ていない。

再デビューの曲は、審査員の山口洋子作詞、平尾昌晃作曲の「よこはま・たそがれ」で、これは大ヒットした。

 

その他の勝ち抜き者には、天童よしみ、八代亜紀らがいる。

歌唱力で勝負する番組だった。

 

なお、同時期に「スター誕生」が行われており、こちらはアイドルのオーディション番組だった。

 

 

ここで書きたかったことは、私の思い出である。

 

この番組で勝ち抜いた若手に、中麻里子という人がいた。彼女は、スター誕生に出場したが、スカウトの札が上がらず、デビューできなかった。

そして、この番組で勝ち抜いてデビューしたが、その時の曲が「だから雨が好き」(1975年)である。これは、演歌ではなくムード歌謡である。

この曲はヒットせず、その後もヒット曲は出ていない。

やはり顔が良くないと(失礼!)、歌唱力があってもヒットしないと当時思ったものである。

 

彼女のことは誰も覚えていないと思っていたが、先日検索してみると、まだ歌手を続けていたようでビックリした。

今の芸名は、中平まり子と言い、日本とブラジルの交流に活躍しているそうである。

また、デビュー半年後に怪我をして歌手活動を一時中断していたそうである。

 

人の人生は様々であるが、人生を全うしているこのような人を見ると、何となく嬉しくなるので、長々と書いた。