手紙を書いてみる。
あれは11月後半?
12月に入ってたかな?
トラックを転がしてる時に「キミが倒れた」と連絡をもらったんだ。
かなり動揺したんだけど、仕事中だった僕は、差し当たって「どーするコト」もできなかったよ。
まさに“狼狽”(苦笑)
仕事がハネて会社に戻ってから、すぐに配車係の担当さんに調整をお願いしたんだよ。
担当さんも懸命に試みてくれたんだけど、年末運行という状況で「今からの配車変更は難しい。勘弁してくれないか?」と懇願されちゃってさ。
基本的に僕は「自分のライブ」以外、休みを取らなかったんだ。
それも手伝って11月の時点では、年内に休みを取るのが不可能というコトだったんだな。
「年内中には、お見舞いへ行くコトができない」
それを伝える為に、僕はキミにメールをしたよね。
それまで、ブッキングや会場入り時間等の業務連絡以外で「電話やメールのやり取りをしなかった」僕らがメールをしたもんだから、僕らの周りの若いコたちがザワついたらしいよ?
「AMIちゃんとUMEちゃんが、プライベートなメールをやり取りしてるらしい」って…。
まぁ、そーなるよね(笑)
不思議だよね?
日を増すごとに、キミへの想いが増えていくんだ。
ひとりトラックを転がしてる時「あの頃のツアー中にバスで聴いた曲」なんかが流れてくると、胸が張り裂けそうになって、もう居ても立ってもいられなくなるんだ。
もはや、過呼吸の軽い発作だよね(苦笑)
その後に気持ちが落ち着いてから、いっつも考えるんだよ?
「俺、こんなにアイツのコト好きだったかーっ?」
自分に対して、怒りにも似た感情を覚えるよ(笑)
まぢで、なんなんだろ?
キミが、いなくなってしまって「僕の身体の一部分を失ってしまった」ような気がするんだ。
よく「胸にポッカリ穴が開いてしまった」なんて表現があるけれども、決してそんな生易しいもんじゃなくてさ(苦笑)
何となくなんだけどね「思い当たる理由」はあるんだよ。
おそらく「僕の後悔」からきてるんだと思う。
それまで生きてきて、あんなに後悔したコトは無い。
「悔やんでも悔やみきれない」とは、よく言ったもんだよ。
自分自身に向けて「どんな感情を抱いているのか?」すら理解らない。
そのコトを考えると、今でも混乱しちゃう時があるんだよね。
キミが倒れて、最初に連絡をもらった時「検査の為の入院」と聞いていたんだ。
そりゃ、いくら検査入院でも心配したし、やっぱり慌てふためいたよ。
でも、仕事は休めない。
葛藤はあったけど、その時は「一人の大人として」の決断を信じてたんだ。
いや、そう自分自身で言い聞かせてたのかも知れないね。
しばらくして、その後の連絡を受けた僕は、言い表せないほど愕然としたんだ。
「検査の結果、癌が見つかった。とは言え、早期発見なので必ず治る。なによりも本人が、癌と闘う気力に満ち溢れている」
僕は混乱した。
キミが、癌という病に蝕まれているコト。
癌という病を受けとめ、キミが闘う覚悟をしているコト。
ひたすら僕は混乱した。
早期発見?
必ず治る?
そんなコトは、どーだっていい。
すぐにアイツの顔を見に行かなきゃ。
当然、入院先には面会時間があり、仕事が終わってからでは間に合わない。
「年末運行だか、何だか知らないけど、絶対に休みをくれっ!」
「無理を承知で調整してみてくれっ!」
配車担当さんもね。事情を伝えたら、懸命に再度調整の見直しを頑張ってくれたんだ。
「検査の結果、癌が発見された」という連絡をもらった後、あっという間にキミはいなくなってしまったね。
訃報を知らされた時のコトは、今でも忘れられないんだ。
いつ?何処で?誰から?
映像として、僕のアタマん中に残ってるんだ。
なにがあったの?
治るんじゃなかったの?
たぶん、そんなコトを思ったハズなんだけどね。何を感じたのか?ホントのところは、よく覚えてないんだ(苦笑)
すぐにでも会いに行きたかったんだけど、どーしても仕事を休めないコトもあって、会いに行けたのは「いなくなっちゃった」次の日だったね。
キミを見て。
キミに触れて。
なにがなんだか理解できなかったな。
それからしばらくのコトはね、なにがあって?どれくらい経ったのか?あまり覚えてないんだ。
我にかえると、涙が溢れ出していて、僕の肩をウダくんが抱いていてくれてたよ(苦笑)。
キミと僕のそばには、ウダくん、ノリちゃん、ヨシくん、シゲちゃん、遠田くんがいてくれてさ。
自分では静かにしてたつもりだったんだけど、後で聞くと、かなり取り乱してたらしいね。
キミも見てたんだろ?
やだなぁ(苦笑)
キミに会えた後も、仕事が待ってるので、すぐに帰らなきゃならなくてさ。
ひとりで車を運転しながら、いろんなコトが次から次へと、アタマを過ぎるんだけれども、何ひとつ考えるコトはできなくてね。
それでも、ずっとアタマの中から離れなかった想いがあるんだよ。
「後悔」という想い。
なぜ、最初の連絡で顔を見に行かなかったんだ?
なぜ、面会時間ぐらいルールを破れなかったんだ?
なぜ、仕事を休まなかったんだ?
なぜ? なぜ? なぜ?
仕事をしていても、ご飯を食べていても、お風呂に入っていても、しばらくの間は何をしていても、ずっとアタマから離れなかった。
その想いは、たとえ何年経ったとしても、たとえ少しだけ心が落ち着いたとしても、きっと消し去るコトはできないと思う。
現にね、今でも「ふとしたきっかけ」で思い出してしまって、アタマから離れなくなるんだ。
なぜ? なぜ? なぜ?
俺は冷たい?
俺は非情?
俺は人間?
俺は鬼?
俺は? 俺は? 俺は?
この想いを消し去るコトが、今でもできないでいるんだよね。
キミが倒れた後「検査入院をする」と知らせを受け、僕がキミに送った最初のメールでは
A『年内は休めないのが確定したので、仕事の休みが取れ次第、見舞いに行く。ごめん。』
U『検査入院だし、AMIちゃんの休みが取れる前に出れるから、来なくてもいい(笑)』
癌が見つかったあとのメールでは
A『いま再び仕事の調整してもらってる。休みが取れたら、エロ本でも持ってすぐに行くわ。』
U『エロ本よりも退院したら、女の子でも紹介してよ?一緒に遊ぼう(笑)』
文面こそ違えども、そんな内容のやり取りをしてさ。
「あの二人が?有り得ねぇだろー?」って、若いコたちが気味悪く感じるぐらいに、たしかに仲良さそうな文面だよね(苦笑)
もちろん、このメールたちは絶対に消さないよ。
けどね。
あれから、ずいぶんと時が経った今になっても、どのメールも開くコトができないんだよ。
どーしても読むコトができないんだよ。
ただ単に寂しいからじゃないんだ。
ただ単に悲しいからじゃないんだ。
どーしても自分を許せなくなるからなの。
どーしても後悔に押し殺されそうになるからなの。
キミが「いなくなってしまう」5日前のメールに
『こんな病気になるなんて自分でもびっくりしてる。でも、このまま死んじゃうわけじゃないから。』
というよーな文面があったのを、あれから1度も読んでいない今でも、はっきりと覚えているよ。
どーして、会いに行かなかったんだ?
どーして、会いに行かなかったんだ?
どーして、会いに行かなかったんだ?
この想いが、つねにアタマから離れなくて、しばらくは立ち直るコトができないでいたし
「いつまでも引きずっていたら、死んだ者も成仏できない」なんて話を、よく耳にしてたけど、ずっと、ずっと引きずって暮らしていたんだ。
僕だけが悲しいわけじゃないし、僕だけが辛いわけじゃないのは、もちろん理解っていたんだよ?
その後のノリちゃん、ウダくん、ヨシくんたちの頑張ってる姿なんかを見ていたら、自分自身がとても情けなくなってさ。
彼らだって悲しいんだ。
彼らだって辛いんだ。
そう考えたら、余計にわけがわからなくなってしまってね。
考えてみると「いっそのコト、ひと思いに誰か俺を殺してくれ」なんて考えたコトもあったな(苦笑)。
「自分の想い」と「とるべき行動」と、どう折り合いをつけて行くのか?
その頃は、僕にもわからなかったんだ。
キミを失った喪失感。
自分に対する失望感。
会いに行かなかったコトに対する罪悪感。
折り合いはつくのか?
折り合いをつけなきゃならないのか?
僕の周りには、優しい仲間がたくさん居てくれて、みんなが僕を気付かってもくれていたんだ。
周りのみんなに対して、平然も装ったし、強がりもしたけれども、時間だけが過ぎて行くばかりで、何ひとつ解決はしなかったよ。
そんな想いを抱いたまま、10ヶ月ほど過ぎた頃だったかな?
ずっと考え続けてみて、たったひとつだけ「自分なりにわかったコト」があったので、親しい仲間にだけでも差し当たって報告したんだ。
「俺は、このまま一生引きずって行くし、このまま立ち直らないと決めた!」
「俺が立ち直らないコトで、アイツが成仏できないのなら、ずっと俺にとり憑いていればいい!」
僕は、ホントに自分勝手だよね(苦笑)
でもね、あの時は真剣に考えてたんだよ?
そうでも折り合いをつけないと、前に進めない気がしたんだよね。
ねぇ? どーしてる?
あれから後、ノリちゃんのコトは見えていた?
ウダくんのコトを見ていたかな?
ちゃんとヨシくんを見ていてくれている?
めちゃめちゃ頑張っていたでしょ?
ノリちゃん、今じゃ立派なリーダーだよ?(笑)
相変わらずウダくんは「俺はサポートドラマーだ」なんて言ってるけど(笑)照れ臭いのかね?
ヨシくん、1番頑張ってたんじゃないかな?キミも見てたでしょ?もはや、立派なバンドの顔だよね。
そして、僕のコトも見ていてくれていた?
あれからの僕は、どうだったんだろ?
キミには、どう見えているんだろ?
相変わらず引きずっていると、自分でも思う。
相変わらず立ち直れないでいると、自分でも思う。
キミが「いなくなった」コトを、今でも受け入れられていないのかも知れないけれども、もう大丈夫だと思う。…たぶんね(苦笑)
あれから時間を経ても、キミへの想いは、日を増すごとに増えて行くんだ。
なので、いつも思う…。
僕は、こんなにキミのコトを好きだったっけ?(笑)
んぢゃ、また書きます。
うめちゃんへ
AMI