って、メールしてきたくせに。
 
いつもそう。
惚れた弱みと言われてしまえばその通りかもしれないけど、
そう言われて、文句も言わずに結局彼のところへ行ってしまう私。
 
今日もまた、私が仕事中ってわかってるくせにメールしてきた。
月末前の締め処理真っ只中。
忙しいのは私だけじゃない。
わかってる。
でも、猛ダッシュで仕事を片付け、
ちょっと待て!!と言われる隙も与えないほどの早さで
定時とともにオフィスを出る私。
 
なのに。
 
留守。
 
はぁ?
留守ってなによ。
いないってどういうことよ。
気が変わったのならせめてメールしてきなさいよ。
あんなメールして来て、なんでいないのよ!!
 
ふつふつとこみ上げる怒りに、なんだか泣けてきた。
都合のいい彼女なのかな。
結局、こういうとき、他の女のところに行っちゃうんだ。
 
いやいやいや!!
私が泣くのおかしいでしょ。
これは怒っていいことでしょ。
なんなの、なんなの、やっぱりいないってどーゆーことよっ!!
 
持って行き場のない怒りがおさまらないまま家路につく私。
あぁ、明日課長に怒られるんだろうな。
締め処理中だもんね。自分の仕事は終わらせてきたけど、他の人も忙しいもんね。
今日のは私が悪いよね。
いやいや、やっぱり彼が悪いんだよ。
あんなメール送ってこなければ。っていうかなんでいないの?
 
結局、最後は同じ結論に至る。
そしてまた怒りがこみ上げてくる。
そんなこと思っている間に、最寄駅に到着した。
駅から家まで、トボトボ歩きながら、怒りのメールを彼に入れようとようやく思いついた。
なんですぐメールしなかったんだろ私。
あ、電話すればいーんじゃん。
後ろで女の声なんか聞こえたら絶対に許さないんだから。
 
でも外でケンカになっても・・・
そう思って、部屋まで急いだ。
カバンから取りだした鍵をさし、ドアノブを回す。
まわしながら彼の携帯に電話をし始めた。
だから気付かなかった。
開けたはずのドアが閉まっていることに。
鍵を回し間違えたぐらいに思って、もう一度鍵をさし直してドアノブを回す。
ドアを開けたと同時に、彼の携帯に繋がった。
 
「もしもし?」
「ん?何?どうした?」
「どうしたじゃないでしょ」
「どうしたじゃないでしょって?どういうこと?」
「どういうこと?!それは私のセリフですけど!!」
 
ん?
なんかおかしくない?
電話の声が前からも聞こえるんですけど。
 
「おかえり。なんだ電話で話すことないじゃん」
 
!!!
なんで、私の部屋にいるのよ。
え?っていうか、なんで靴に気付かなかったの私。
っていうか、え?!
 
混乱する頭の中。
と同時に、私はソファーに座る彼に向かって声を荒げていた。
 
「っていうか。はぁ?なんでここにいるの?絶対に来るよなってメールしてきたのそっちでしょ。
だから、必死で仕事切り上げて、怒られるの覚悟で帰ってきたのに。なんで家にいないのよっ!!」
 
彼は私がなんで怒っているのかわからないのか、きょとんとして私を見つめていた。
 
「ちょっと、聞いてるの?」
 
早口で捲し立てた私の言葉を理解した彼が、少し自信ありげに微笑んだ。
その笑顔に、イラっとする私。
「何がおかしいの?何笑ってるのよ。私怒ってるの。わかってる?」
 
仁王立ちのままの私。
ソファーに座っていた彼が、すっと立ち上がり私のことをなだめるように、抱きしめてそして頭を撫でた。
 
「ごまかさないで!」
 
腕に力を入れ、ぐっと彼を離す私。
 
「ごめん。独りで待ってるの我慢できなくて、気づいたらここにいた」
 
ズルイ。
そうやって・・・。
 
結局、私は彼に振り回されている。
何も言えなくなり、一気に力が抜けた私を抱きしめる彼。
 
「そうだ。仲直りのキスしよ」
 
仲直りって・・・。
絶対に悪いと思ってないクセに。
私が怒っていたことだって、笑ってあしらっちゃうクセに。
こうやってキスして何もなかったことにしようとする。
 
本当にズルイ。
 
でも、好き。
 
彼がスキ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
若干、病気ですかね、私(苦笑)
いやいや、初日横浜まで1週間。どっぷり妄想に浸って、モチベーションあげて行きますとも。
スタアの官能小説が続く限り(笑)