11月3日公開から1ヶ月以上経ってしまいましたが、今更観に行ってきました。


1ヶ月経っていますと色々と耳に入りますよね。先入観なしで観たかったな。色々考えちゃいながら鑑賞したのでいつものようにゴジラを楽しめなかったような気がします。


ストーリーもだいぶ出回ってますので、既視感すら覚えてしまって、映画は公開すぐに観に行った方が楽しめると思いました。




主演は神木隆之介くんです。大人になったものですね。童顔なので年齢不詳ですけどね。

顔も可愛い系ですけど、声も可愛かったですよね。「千と千尋の神隠し」の坊や「ハウルの動く城」のマルクル、子どもの頃からジブリ作品常連さんです。


神木隆之介演じる敷島浩一は大戦も終盤、特攻を任務としますがひよっちゃうんですね。

戦闘機が調子悪くて、特攻できません…。戦闘機壊れてないのに…。

実際すごい恐怖ですよね。自ら武器となり飛行機で突っ込むなんて想像を絶します。


ちょっと脱線しますが、私が子どもの頃には戦争映画がものすごくたくさんテレビ放映されていました。

特に8月の終戦記念日のあたりとか、3月の東京大空襲の頃なんかは学校でもスライド見たり、授業で取り上げられました。だから、親に話を聞く機会もよくありました。

父に、特攻隊の人は怖くないのかなと尋ねたことがあります。

父は「今思えば恐ろしいことだけど、あの頃はそれが名誉であったし、当たり前のことだったから迷いもなかったんじゃないかなぁ」と言っていました。まだ子どもだった父も、すっかり「欲しがりません、勝つまでは」の標語に支配されて、命までも捧げても構わないような気運に乗っていたらしいです。国民みんな洗脳状態のようにも思えますね。案外、渦中にいる人は自分達の悲惨さには無自覚なのかもしれません。


父に言わせると後世に作られた戦争映画はどこか嘘くささがあったようです。戦時中にこんな太った人間なんかいなかったとか、特攻を怖がって逃げる兵隊なんかいるもんかと言っていましたけど、太った人はともかく、逃げた兵隊さんのことは公にはせずに隠すかもしれないですよね。だから子どもだった父は案外、確かなことは知らないんだろうと思います。


そんなことを映画を鑑賞中に考えちゃうから映画に集中できなかったんですね。


話を戻しますと、敷島は戦闘機の不具合を申し出て、修理をしている守備隊基地のある大戸島に着陸します。これ、1954年度版、最初のゴジラも大戸島に現れています。勿論架空の島です。

それから1954年度版も東京などの公開日が11月3日でぶつけてるんですよね。実は意識しまくりですね?



守備隊の隊長の橘はかなり腕の良い技術者らしいです。演じるのは青木崇高、優香の旦那さんですよね。

映画「るろうに剣心」の相楽左之助で、神木隆之介は瀬田宗次郎役で共演してますね。敵同士だけど。


さてさて、お話を進めますと、この守備隊の基地がある大戸島でややちっさめのゴジラの襲撃に遭い、部隊はほぼ全滅の憂き目にあうのです。



大石典子役は浜辺美波。(実子ではない)明子という赤ちゃんと共に空襲から生き残り、復員した敷島のところに転がり込むのですが、若い二人なのに恋愛関係にはなりません。なんで?


敷島は所謂特攻くずれですから復員しても世間からは冷遇を受けます。この辺、映画では安藤サクラに頼りきりで全く説明ないけど、若い皆さん、ついて来れてるんでしょうか?

せっかく生きて帰ったのに、どの面下げて帰って来た!なんて仕打ちを受けたらメンタルやられますよね。それ以前に敷島は大戸島でもやらかしています。

そんな彼の中の戦争はまだ終わっていなかった…らしいです。


金田一シリーズ「女王蜂」でも特攻くずれの多門連太郎のやる気を復活させたのは智子です。美人はやさぐれ男のカンフル剤です。


ストーリーとしてはしくじり人生をゴジラ退治でやり直すっていう、単純な感じですけど、物語は単純な方が楽しめます。定説です!


大戸島では小ぶりだったゴジラですが、ビキニ環礁の核実験の影響を受けておっきくなります。しかも怪我してもすぐに細胞が再生されて復活します。シン・ゴジラより手強そう。この辺もさらっと流されてますけど、シン・ゴジラのようにゴジラの生態を説明してくれるオタクの一人も欲しいところです。



博士もね、不在です。ゴジラ映画に博士なしって。許されるの?代わりに学者ってあだ名の人が。あだ名だし。そして演じるのは吉岡秀隆だから。嫌いじゃないんだけど、頼りない。確かに科学者ではあるんですけどね。この人は技術者なんですよね。戦争中は兵器の開発をしていたらしい。なんか発明したりするのが得意そう。機械系ではなくて生物学者の先生いないと。でも、いないものはいないので、野田に頑張ってもらいます。今回はゴジラをやっつける作戦を考えてそのためのフロンガスの装置も作ります。フロンガスって昔からあったんだ。


この吉岡秀隆の演じる野田健治と敷島は戦後の仕事で知り合うのです。敷島と典子、明子(赤ちゃん)との出会いから少し時間が経過しています。この仕事というのは戦争中に米軍が海に沈めた機雷を船で除去するというものです。機雷が金属に反応して爆発してしまうということで木製の新生丸に乗船します。一見ボロ船で機雷にも、ましてゴジラには対抗できなそうです。

敷島は機雷を砲撃する腕を買われました。のび太並みに射的が上手い敷島です。


この時の機雷除去仲間が後々ゴジラ退治のお仲間になります。なんか単純ですけど、人と人の出会いは偶然から始まるのです。知らんけど。


旅の仲間じゃなくて機雷除去のお仕事仲間、元気いっぱいの秋津淸治。声が大きい。声の大きい人に悪い人はいません。この人もいい人です。多分、戦中戦後、苦労してるし家族も亡くしてるんでしょうね。も少しこの人の存在意義ってものが欲しい気がする。全体に説明が足りなくて想像するしかないですね。人間模様は。


新生丸では一番若い水島四郎、山田裕貴。実際も映画の設定同様、神木くんとあんまり変わらないけど年下です。

戦争には行ってないけど、行ったからって偉いわけじゃないってことを教えてくれる存在ですね。

先程もあげましたけど、うちの父もこの水島と同じように思っていたと思います。もう少し戦争が長引けば、もう少し自分が早く生まれたら、自分だって兵隊として生きることができた、特攻として死ぬこともできたと考えている世代の人ですね。こんな悲しい人、世の中にいる?って思いますよね。戦争に行けなかった、行きたかったって真剣に考える人がいたんですね。怖くて悲しい。



生きて帰って来た敷島に「えーっそんなこと言っちゃうのー?」って私もちょっと引きましたけど。辛辣な言葉を吐き出すオバハンです。安藤サクラちゃん、声が可愛くて罵詈雑言が似合いませんね。顔はいい線いってます。つまり怖い。


敷島の家のすぐそばに住んでいて、戦争で子どもを亡くしています。口から出る言葉ほど悪い人でもなくて、明子のお世話もしてくれるし、イヤイヤながらお米もくれたりするすごーくいい人です。

安藤サクラちゃん、皆様ご存知でしょうけど、奥田瑛二と安藤和津の娘さんです。お姉さんは映画監督の安藤桃子、旦那さんは柄本家長男の柄本佑です。

映画「愛のむきだし」から14年。あの映画の主要メンバーってみんなアラフォーなんですね。満島ひかりちゃんも。


ゴジラは日本上陸を果たし、銀座の街を壊滅状態にします。1954年度版でも実況アナウンサーがゴジラ襲来を間近で実況中継するシーンがありましたね。マイナスワンでも同様のシーンがありました。さてはこれってオマージュってやつですね?ゴジラが電車を咥えるシーンもありましたね。細かく観るとオマージュシーンがたくさんありそうです。カメオ出演の俳優も私は橋爪功しかわからなかったけど、もっとたくさんいるのかな?



わたくしごとですが、私、新卒でOLしていた時の勤務地が銀座だったんですよね。実家からも遠くないので子どもの頃は映画を観るのもちょっといいもの買いに行くのも銀座、有楽町、日比谷の辺りでした。(注:さすがに1954年度版公開時は生まれておりません)

私の銀座が壊されていく…そんな気持ちになりましたよ。有楽町マリオンならぬ日劇もまだあって、懐かしい…と思った途端破壊。ここで心の中で悲鳴ですよ。


銀座は壊滅しましたが、「シン・ゴジラ』や「GODZILLAゴジラ」から始まる「モンスターバースシリーズ」と違って海上決戦です。なるほど。そう来たか。ゴジラ背中しか見えん。顔半分やん。とか、言いません。迫力はありました。他のゴジラ映画と違って明るいし。

でも、ちょっと疑問に思ったのは、なんでゴジラ映画って怖く作らないんでしょうね?

ほら『ジョーズ』とか『MEG』とか

「来るぞ来るぞ…わー、食べられた!」的な怖さがあるでしょ?



今回は海上ということで『MEG』を思い出しましたが、あれよりもっと巨大で、ターミネーター並みに死なないゴジラとの対決、民間人でやっつけようとするなんて無茶だし、恐怖でしかないですよね。勝ち目ないもん。でも、なぜかあんまり怖くなかったです。怖さより、ちいかわ的に「なんとかなれー」って願ってました。わからない人はちいかわ読んだり見たりしなくてもLINEスタンプちいかわ4見てください。




最後にこのゴジラをやっつける作戦名なんですが、「わだつみ作戦」です。わだつみってワタツミとも言いますが、日本神話の海の神のことです。漢字に当てると海神です。祀られた神社もありますから知ってる人は知っていますよね。私は子どもの頃に「きけわだつみのこえ」という本から知ったんですよね。この本は第二次世界大戦の学徒兵の遺書を集めた遺稿集なんですよ。でも、出版が1949年なので、この映画のゴジラの登場の方が先ですから本とは関係ないということになりますね。



「シン・ゴジラ」では「ヤシオリ作戦」でしたね。ちなみに、ヤシオリとはスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する時に使ったお酒のことです。スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治するにはクシナダヒメをお嫁さんにすることが条件なんですけど、男子のモチベーションには綺麗な女子が必須っててことですね。

実際の作戦名には日本神話が用いられるのか知りませんけど、ゴジラはやはりGOD-ZILLAですから神話が似合いますよね。






この映画が、他のゴジラ映画のように何度も私を楽しませてくれるのかはちょっと今の段階ではわからないんですけど。もう一回じっくり観たいなって思いました。