私が父と母を説得するために使った手段。
それは……
「如何して、そうやって嫌がらせばっかりするのッ
向こうの両親が来てくれるならお地蔵さんと会うっていう
約束だったじゃない
嘘吐き
キイィィィッーーー


」
泣いて切れて暴れまくる、でした。
我ながら大人気ないことをしたと思います。
しかし、もうこの方法しかありませんでした。
この頃からお地蔵さんは私の両親に対してかなり神経質になってしまい、
メールを敬語で送るようになっていたのです。
「今なら別れてもまだ傷が浅いわ!他にもっと良い人が
たくさん居るでしょう?別れなさい」
と云う母。
ですが、勿論私にその気はありません。
その頃の私。お地蔵さん以外の人との未来を
考えることが出来なかったのです。
これで駄目ならもう駆け落ちしかありません。
私の只ならぬ剣幕に押された両親。
次の日の朝(所謂決戦日)、遂に折れました。
ぎりぎりまでごねる母を引き摺るように、私たちは電車に
飛び乗ったのです。
お地蔵さんの実家までは、新幹線で2時間ちょっと。
駅に着くと、改札口では既にお地蔵さんが私たちの到着を
待っていました。
お地蔵さん:「初めまして。お待ちしてました。私の両親は
先にホテルへ向かいました。ホテルまではタクシーでお送りします」
父&母:「どうも。今日は宜しくお願いします」
母は既に戦闘体制。
父は久し振りの旅行で浮き足立っているのか
かなりテンションが上がっていました。
タクシーに揺られること、20分。
漸く目的地に到着。
いよいよお地蔵さんのご両親と初顔合わせです
お義父さん&お義母さん:「初めまして。みのるさん。
まぁまぁ、遠いところをよく来て下さいました」
何と云う綺麗なお声なのでしょう。加えて上品です。
お義母さんの玉のような声にうっとりする私。まるでカナリアです。
お地蔵さんの良い声は、間違いなくお義母さんの遺伝子のお蔭でしょう。
頭を下げたお義父さんは、立派な恰幅で優しく微笑んで下さいました。
とても落ち着いたダンディな方です。
私の好きなカピバラちゃんを彷彿させます。
あと20年早く産まれていたら、私も狙っていたかもしれません。
お義母さんの見る目は確かです。
お義父さんは、私の両親の「お茶」の要望を叶えるため、
顔合わせの場所に立派なホテルを予約して下さいました
メニューには美味しそうなケーキがずらり。
お茶だけで、と遠慮する私たちに、カナリアさんとカピバラちゃんは
私たちが頼みやすいよう、率先してケーキを選んで下さいました。
嗚呼、もう、本当にお気遣いありがとう御座います。。。
此処からは、お茶をしながら戸籍謄本とか卒業証書、互いに持っている
資格等の証明の交換(寧ろ検証に近い
)が始まります。
お地蔵さんはその間、ずっとニコニコしていました。
私は少し憂鬱で
私たち、恋愛結婚のはずなのに、何だかお見合いのようだわ……
と、切なくなっていると、カピバラちゃんが私の資格の証明書を見て一言。
カピバラちゃん(お義父さん):「いやぁ、優秀なお嬢さんですなぁ」
それは、こんなことを云い始めた私の両親に対する皮肉ですか、お義父さん。
私はそんな優秀な人間じゃありません。卑しい人間です。ぷぅ。
と云いたかったのですが、此処は笑って誤魔化します。
みんな猫の皮を3枚くらい被っていますので、中々本音が出てきません。
腹の探りあいが続きます。
ケーキも食べ、紅茶がすっかり冷めた頃、お地蔵さんが
私たちをポートタワーに連れて行ってくれることになりました。
父:「えっ
本当ですか
いやぁ、僕一度、行ってみたいと
思ってたんですよ~」
先に皮を剥がしたのは、恥ずかしいことに私の父でした。
否、私の父はストレート直球型の人間ですので、元々皮なんて
ないかもしれませんが。
ともあれ、あれ程「忙しい」を連呼していた父は、こともあろうか
子どものようにはしゃいでいます。
それを横目で睨む母の視線の怖いこと、怖いこと。
父とカピバラちゃんは何だか意気投合しながら、さくさく
タワーを目指して歩きます。
私たち女性陣は日傘をさしながら、その後に続きます。
ん~何だか良い感じになってきてるなぁ、と。
そう思った瞬間、カナリアさんが私に話題をふりました。
カナリアさん(お義母さん):「そういえば、みのるさん。お地蔵の処へ
行ったそうね。甲府は如何でした?私はまだ一度も案内してもらって
いないものだから、もう気になって。あの子ったら、
私よりも先に貴方を甲府に呼んで案内したのよ」
お地蔵さん!お地蔵さん!
私、カナリアさんのくちばしでつつかれてるんですけど……ッ
瀕死です。助けて下さい。
そう思い、心の中で必死に呼んだのですが、お地蔵さんはこともあろうか
父とカピバラちゃんと話すことに夢中で気付いていません。
その後、辛くもくちばし攻撃から逃れた私。
お地蔵さんと並んで歩きたいのですが、それすら叶いません。
そんな私の気持ちに気付いたのか、カナリアさん。
カナリアさん(お義母さん):「それじゃ、後は若い子たちで
二人っきりにしてあげましょう。みのるさん、ごゆっくり。ぐふふ……」
な、何を考えているのでしょう。
ぐふふ、の先が気になるところですが、こんなに人が居る場所で
如何しようもありません。
恐る恐るお地蔵さんを見上げると、彼もまた困ったような視線を
私に返してきました。
両親たちとはその後、私の宿泊先のホテルで別れ
私とお地蔵さんは別の場所で合流。
そのまま、夜景を案内してもらったり、次の日、デートもしたのですが
暑さに弱い私は殆ど休んでばかりで、日中は喫茶店にいることも多く、
結局、お地蔵さんと手を繋ぐこともないまま、顔合わせは
終わったワケであります。
~その後の母からの電話~
母:「今、帰ったよ」
私:「お地蔵さんはどうだった」
母:「貴方が話してくれた通りのイイコだったわ。
でも、ひょっとすると、このお話は駄目かもよ」
私:「ええええッ
なんで?先方から云われたのッ?」
母:「だって私、ご両親と『また機会がありましたら
宜しくお願いします』って、挨拶しちゃったもの」
莫迦ーーーん

最悪だ、と。
暫く落ち込んでいたのですが、その後、先方から
「今後とも宜しくお願いします」と私の方に連絡が入りまして。
話せば解るとはよく云いますけど。
会えば解ると云うのも、あるんですね。
こうして無事、私とお地蔵さんの結婚は両家合意となった
ワケなのですが。
この後、遠距離恋愛ならではの試練が、私とお地蔵さんに
圧し掛かってきます。
→続く
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お地蔵さんの会社の後輩が、お地蔵さんに
「新婚さん いらっしゃい!」に出ないんですか?と訊いたみたいで。
面白そうだね~と冗談で応募したら、本当に届いちゃいました
「新婚さん いらっしゃい!」のアンケート。
えええーーー
どぼしよう
とパニくってたら、お地蔵さんが大爆笑。
こっから「書類選考」→「一次予選」→「二次予選」→「出場」
となるみたいなのですが、そもそも書類選考に何を書いていいのか
解らない。(とほほ)
取り敢えず先ずはググってみますが、どなたか経験ある方がみえたら
ご教授願います。(ぺこり)