今回紹介するのは園山ゆきの先生著作『ブレス』です。

ブレスは英語表記でBLESS。日本語訳で「祝福する」という意味の単語です。

 

コミックのカバーの裏に記載のあらすじを紹介します。

 

自分らしさに祝福を。

自分には才能がないと感じ、やりたいことを隠し周りに合わせてきた

男子高校生・宇多川アイア。

ある日、クラスの冴えない女の子・炭崎純と学園祭のコンテストに出場しメイクをすることに。

普段、学校では見せない魅力を炭崎に感じたアイアは、メイクで炭崎の魅力を

引き出し学園祭に臨む!

 

あらすじにあるように、メイク×青春を題材とした作品です。

 

題材であるメイクについて私は全くの無知識でしたが、だからこそ物語の要所で出てくる

メイク技術の説明は新鮮で興味深く読むことができました。

 

絵は凄く綺麗です。白黒のはずが、メイクされたキャラクターの表情や姿の描き方からか、鮮やかな色で描かれているように脳内補完されます。

 

「BLESS」という作品名をタイトルにした話が第3話で出てきます。

この第3話で主人公のメイクすることの軸が表されます。

 

人は物理的にありのまま(裸)で社会生活をしません。(家の中とかは裸族はいるかも

しれませんが、、)

皆、衣服を纏い社会生活をします。ただ、顔は布に纏われず、他者に与える視覚情報が

多い部位である顔を”メイク”で纏うことはファッションと似て非なるものかと読んでいて

感じました。

 

では、どこが違うのか。それは、同一性の違いかと私は考えます。

 

ファッションは衣服を身体に纏えますが、一体化することはできない。

しかし、メイクされた顔は表情によってメイク自体も動きます。

メイクされている一時的な間、顔(その人のありのまま)と一体化するのです。

 

だからこそメイクは自分を表現することの本質的な方法の一つなのではないかと

思うのです。

そうなるとメイクアップアーティストは、メイクを行う対象者のありのままを表現する

仕事。

もし、ありのままに自信が持てない人がいるのではあれば、メイクを施すことが「ありのままでいいんだよ」とその人を祝福することと同意義になるのかもしれません。

 

メイクをする方も、メイクを施す方も、メイクをしない方でも、自分のありのままに自信が持てない方は是非一読してみてください。

 

・参考文献

園山ゆきの(著)『ブレス』2022年8月17日初版 株式会社講談社