第1章 1話 『一目惚れ』
…第一印象は、7秒できまる
昔受けた気がするマナー講座で、そんなことを習った気がした
* * *
時刻は6時28分。ギリギリ間に合いそう。
ふぁあと欠伸をしながら、今日も田舎町を歩いていく。
9月の中頃、いつもと変わらない朝。
日代誠、18歳。高校2年。
今日も電車で学校へ向かう。
その時、視界にある女の人が入った。
「…なにしてるんだ」
通りすがる人、みんながみんな、そう思ったはずだ、
だって彼女は、裸足に明らかなパジャマ姿で、電柱の前で座っているのだから。
…どーする?これは俺が声をかけるべきか?
彼女はそこから動こうとはしなかった。
…まるで、彼女を縛る首輪があるように…。
「…なにしてるんですか?」
勇気を振り絞って彼女に声をかける。
彼女はゆっくりと振り返った。
「…待ってるんだ」
そう言って笑った彼女に、不覚にもドキッとした。
…なに、その笑顔!! 反則だろ!!?
「え、な、なにを…?」
「教えない」
彼女はそう言うと、前を向いて足をこすった。
…まだ日中は暑いとはいえ、早朝に裸足は寒すぎる。
俺は、鞄の中からタオルを取り出して、彼女の足の上に置いた。
「好きに使っていいよ、早めに帰りなね」
俺は彼女の反応も見ずに、そのままそそくさと立ち去る。
理由はわかってる。簡単さ。
…顔が真っ赤だ。
時刻は6時33分。まだ余裕はあるのに、こんなに早足。
…生まれて初めて人を好きになった。
