彼に電話をかけました。
なぜかスペイン語の留守電へとつながります。


相変わらずよくわからん人だ


留守電には何もいれず電話を切りました。


彼からの連絡を待つこと30分、


あれ?連絡とりたいんじゃなかったんかい。
何で私がこんなそわそわしながら待たされるのよ。


そんな風に思いながら、心臓はばくばく。


そんな時、ようやく彼からのメールが届きました。


「今クラスを受けているから、電話に出られなかった。
せっかく電話をくれたのに本当にごめんなさい。
クラスが終わったので、今電話をかけてもいいですか?」


ととても丁寧な文章でした。


Ok.と返すと、すぐに電話が。


まずは私が彼について恐怖を感じていること、
離婚を考えていること、
私と息子の近況などを話しました。


離婚の話になると、
彼が涙を必死にこらえながら話を聞いている様子が
電話越しからうかがえました。


「Makiの正しいと思うことをして欲しい。
最終的にMakiが僕を見限って、
離婚という決断を下すのは理解できる。
ただ、僕の今の状況を聞いて、
それから決断をして欲しい。」


彼の話によると、
DVのクラスに週2回、平日と週末通っていて、
他にもアルコール依存のサポートグループなどにも
顔を出しているとの事でした。


以前の彼とは全く別人のような話しぶりに
驚きの連続でした。


DVのクラスの効果か


私の話を積極的に聞くように気をつけていること
他人を尊重するようになったこと
ポジティブ思考になったこと


これらの変化が見えてきました。


そして、一番驚くべきところは、
彼が身内、友達、会社の人達に
DVのクラスを受けていて、
今別居中であることを告げているということ。


私は彼の性格だと絶対に家族や他人を信用しないで
弱いところは決して見せず、
ひたすらDVの件を隠しているもの
そう思っていました。


それだけに、彼が周囲に真実を告げていることには驚きでした。


さらに驚くべきことに、
周囲が彼がDV加害者であることを受け入れ、
変化をしようとしていることを応援してくれているそうなのです。


本当に私にとっては信じられないことでした。


でも、このことが私の離婚の決断を変えました。


彼は今まで家族ですら信用できず
一人で生きてきた人。


これからはもしかすると周りの人たちが
彼を変えるかもしれない。


他人から受け入れてもらった彼は、
前向きに良い人間になろうと思えるかもしれない。


人は、変わろうと思えば変われるのかもしれない。


そんな考えが生まれてきました。


それに、私は日本に帰らずアメリカに残ることを決断していました。
それは、息子が父親を失わないように
それが頭にあったからです。


彼はこれから父親として
良い人間の見本である必要があります。


彼と私はこれから父親として、また母親として
関係が途切れることはありません。


まだ子供は小さいですから、
この関係をうまく続けていく必要があるんです。


どうせ時間を共に過ごすのであれば、
彼が変わる努力を傍にいて応援する
そんな選択もあるのではないか。


それに、私にはまだ彼に対して愛情があります。
彼が変わってくれるのであれば、
また一から関係をやり直したい。


そんな想いが生まれました。


「離婚は待つことにする。別居して、私は経済的自立を、
あなたはDVクラスのコースを終えて、変わる努力をして。
一緒にまた生活できるように頑張りましょう。」


自然とそんな言葉が出ていました。