小さい頃、自転車に乗って家族で家から数キロの距離にある寅さん記念館に行ったことがある。
寅さん記念館のことは全く記憶に残っていないし、道中どんな景色を見て、どんな会話をしたかもほとんど覚えていないが、すごく楽しかったことだけが強く記憶に残っている。
僕にとっての初めてのチャリ旅だ。
その時から、いつか自転車で遠くに行って、色んな物を見て、色んな人と出会って、色んな事を感じながら旅してみたいなと漠然と思っていた。
でも、当時の僕にはそんな勇気もなければ、行動力もなかった。
そもそもそんな事ができるだなんて思ってもいなかった。
その時に描いた夢は、漠然とした夢としてあり続けた。
そんなある日、相棒がアメリカ横断に誘ってくれた。
出発前、突然恐怖が襲ってきた。
英語も話せない。パンクも修理ができないどころかタイヤの外し方さえ分からない。
どんなところに泊まるかだって決まっていない。
アメリカの州だって3つくらいしか知らなかったし、かの有名なルート66がどこにあるかも知らなかった。
白状すると、ルート66は今もどこにあるか分からない。
出発の2,3日前、そんな恐怖に押し潰されそうになり、夜中に相棒に電話をした。
「このままだと本当にヤバいと思う。飛行機代は無駄になっちゃうけど、一週間延期しない?」
そんな僕に相棒はこう言った。
「大丈夫。一週間延期したところで、俺たちは絶対準備なんてしないから」
これは半分オモシロ話だが、この時の事は今でも僕の中に強く残っている。
何かにチャレンジする時、恐怖は付き物だ。
それはアメリカ横断を達成した今でも変わらないし、今回だって出発前に何度も恐怖を感じた。
そんな時、恐怖に打ち勝って、兎に角一歩前に踏み出さなきゃいけないんだ。
そんな事を教えてくれたのも相棒だ。
今回の出発前に恐怖が襲ってきた時、あの時のワンシーンが僕の背中を押してくれた。
相棒と二人で達成したアメリカ横断。
一人で挑戦したヨーロッパ横断。
それぞれで感じた楽しさや辛さは違ったけど、どちらも最高にアツく、最高に楽しかった。
そしてどちらも、小さい頃から思い描いてきた夢の形だった。
アメリカ横断を達成した後、もう二度とこんな事できないんだろうなと思っていた。
でも、こうしてもう一度異国の地に降り立って、毎日大好きな自転車に乗ることができた。
ただただ、めちゃくちゃ幸せだった。
ばんちゃん、ありがとう。
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2018/3/23 ヨーロッパ自転車横断達成
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さて、最後に一つ書き残して、今回の「銀河系軍団の自転車横断記ヨーロッパ編」を締めくくりたいと思う。
小さい頃から夢見てきた異国の地でのチャリ旅。
もうしばらくはいいかな。
相棒に至っては、アメリカ横断後からほとんど自転車に乗っていないらしいから、また旅に出るとしたら、これからずっと先のことになると思う。
相棒とは、おじいちゃんになったらアメリカを今度は西から東に走るか、或いは日本を回ってみたいねなんていう話をしている。
その頃にはこのブログが書籍化されて、一生かけても使い切れないくらい印税が貯まっている予定だから、両方できるんじゃないかな。
それまでは、相棒の長男の全と、これから生まれてくるであろう僕たちの子供達、銀河系軍団ジュニアたちに、この「銀河系軍団の自転車横断記」の続きを託したいと思う。
地球は広いからまだまだ走るところはたくさんある。
僕は今年、アメリカ横断当時から付き合っている彼女と入籍する。
これからは、銀河系軍団として、そして一人の男として、彼女のそばで、彼女のことを守っていきたいと思う。
横山諒平










