グルメなアルメニア(ザリガニたべた) | 世界一周行ってきます!と果たして言う事ができるのだろうか
アルメニアの料理といえばザリガニがある。

あの、エビみたいなカニみたいなどっち付かずなニクい奴である。

川に住むザリガニなんて、泥臭いとお思いだろうが、よく考えていただきたい。
アメリカザリガニなんて、食用のためにアメリカくんだりから運ばれてきたわけで、さぞ美味いに違いない。


美味けりゃ、我が家の近くを流れる二級河川、山崎川にいても驚きではないのだ。


山崎川といえば、ぼくが自転車の補助輪が外れた頃、友人と、その流れる先を追う旅に出たのを思い出す。


10段変速のギアを駆使し、野を超え、山を越えるうちに川幅はみるみる広くなっていくのだった。

潮風が、大海原の欠片を運び、海の予感を感じた時、ぼくらは思わぬ障害にぶち当たった。

工業地帯。

少年は見上げた。

意図もつかめない巨大なコンクリートの建物。

さらに川を見れば、すべての生き物を殺して、固めて、舗装された川岸。

水は黒く、流れは無く、上流にあった、都会の一瞬の清涼感は消え失せて、まるで別人。

挙げ句の果てに道には無機質な文字で、

しゆうちにつきたちいりきんし。


ぼくたちにのみ向けられたその看板が、静かに見下していて、すばやくその場を後にしたのだった。


その頃からだろうか。

アメリカザリガニをすっかり見かけなくなった。


このエピソードと、アメリカザリガニの消失に関連性はないのだが、

しかしながら、ぼくの中であるイメージが、事あるごとに喚起されるのだ。


それは、アメリカザリガニは川を下って深くて流れのないあの工業地帯の暗い川で、行き止まり。そして死んでいく。

ニンゲンの食欲を満たすため、強制的に産み落とされたアメリカザリガニの無念の最期……


そんなザリガニを、ぼくはアルメニアで食べるのだ。

まずは、エレバン駅でWi-Fiに接続。
ちかくでザリガニが食べられるところを探した。

ふと、気になってアメリカザリガニのウィキペディアを開いた。

彼らがなぜい無くなったのかスッキリしておきたかったのだ。

しかし、思いもよらぬ記述を発見したのだった。

【アメリカザリガニ】
日本に移入されたのは1927年(昭和2年)で、ウシガエルの餌用として…………

あれ。

食用じゃないんだ……

ウシガエルの餌なんだ……

そっか。

ちょっと前半のエピソード、なかった事で。



さて、ザリガニ、楽しみである。

たらふく食ってやろうじゃないか。

ネットではお店を見つける事ができなかったのだが、宿にいた日本人が、見かけたというので、地図を書いてもらった。

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この辺りだ。

ザリガニさんの写真付きの看板が掲げてある。

しかしながら、一見、高級店。

広い駐車場には、BMWなど高級車がズラリ。

店を覗くと、政府高官が密会でもしていそうな、ふかふかソファーのお部屋。

おそるおそる店員に、ザリガニを食したい旨を伝えると、その高級店の裏に連れてかれた。

するとそこには、庶民的なスペースが。

ほっと胸をなでおろすと、ザリガニ発見!

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でかい!

実は市場で一度出逢っているのだが、その1.5倍はあるだろうか。

間違いない。

ここはザリガニの名店だ。

席に着き、いよいよ注文。

メニューをもらおうとしたら、ノー。

なんと、メニューはザリガニオンリー!

名店確実だ。

とりあえず五匹とビールを頼んだ。

そして……

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どーん!

きました!(二人で行ったから10匹)

洒落た盛り付けが、ニクい!

店員さんに食べ方を教わる。

まずは、尻尾部分から。

足を取り、縦方向に力を加えると、パリッと殻が割れる。
殻と内臓を取り除いたら、エビみたいな身が出現。

意外と食べるところがある。

さすが高級店。

そしてお味は……

味はシャコ!濃厚なシャコ!

しかし、食感はプリプリで、正月のおせちに入っている高いエビのそれ!

シャケ、ミート、エビ

そして、絶妙な塩加減で味付けされ、ビールが進むのだ。


でも、ザリガニの旨さはそれだけじゃない!

エビより大きな頭の部分。

殻を外すとたっぷりのミソが!

それを吸い尽くすのだ!

濃厚さはカニ味噌に匹敵する。

これまたビールが止まらない。

大きなザリガニは食べ応えがあり、五匹で大満足。

ビール二杯飲んで、1人1200円くらい。

アルメニアにしては高いけど、十分価値があるのではないでしょうか。

アルメニアに来たら、ザリガニ、オススメです!