リクガメはもがいていた。

躓き、転がり、ひっくり返り。

しばらく動けないまま、頭から煙が立ち上る。

立ち上る煙が雲を作る。

乾きと渇きで妄想力が暴走する。

浅い深呼吸、満ち溢れる呆然。

 

両手を空に向かって思い切り伸ばす。

風が「自由」を自慢する。

リクガメ故に、いつでも「いい感じ」なはずだけど、

時折思うのだ。

カラダがちいさくて軽やかで、木に止まって囀るもの。

見えない翼で路地を吹き抜け、高所から着地したりするもの。

風を集めるもの、操れるもの、

そして。

水中なのに風を切るように泳ぐ、優しく賢いもの。

大好きな相手に、テレパシーで寄り添う。

いいね、すごくいい。

それから、

それから。

 

程なくしてリクガメは転がるチャンスを得て、再び歩き始めた。

そして待ちに待った雨雲がやってくる。

飲みたい分だけ、浴びたい分だけ降ってくれたらいいのに。

地面を割らずに降ってくれたらいいのに。

リクガメ故に、いつでも「いい感じ」なはずだけど、

時折思うのだ。

嵐のように四方八方から打ち付ける雨と、静かに真っ直ぐ降る雨。

真っ直ぐに降る雨を見ていると、時が止まったような気分になる。

風が止まり、時が止まり、世界が止まったように見える。

リクガメは甲羅の中に自分ごと大切なものを隠して想う。

周りの世界は止まらなくても、自分の世界はいつか止まる。

自分の世界が止まったとき、この頭の中と心の中のものは

どうなってしまうのだろう。

 

知って欲ほしいけれど隠しておきたい。

隠れていたいけど見つけて欲しい。

いっそ名前も知らないちいさな種の中に入ってしまいたい。

そして時が来たら、できればちいさな青い花を咲かせたい。

雨上がりの朝に露を纏った「いい感じ」なそれを見つけた誰かが、

しゃがみ込んで、「おはよう」と云う。

うん、すごくいい。

 

 

 

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(・へ・)

ああ一年、半分過ぎてる、、

 

カクテイ山とシンコク山の峠越えから5月の大型連休を飛び越え

着地したらこんな飛距離出してました、

的な、、

何云ってんでしょうか。

 

何故にこうも歩みが遅いのか、カメに申し訳ないくらい遅いではないか、、、

 

短い梅雨に入ったようで、月草(露草)ももうすぐ咲いてくる季節。

雨上がりの、むせるような土の匂いのする中、、、、

小さく愛らしい、けれどもハッとするような青い花弁と葉っぱに乗った露玉を見

嫌いな夏がちょっと好きになれる。

褪せない色と匂いの記憶、、、

新潟(母方の田舎)と八ヶ岳の思い出。

 

新潟の田舎はワタシのルーツといってもいい。

人生の時間でいえば東京と九州が半々だけど

短くても濃い時間と経験がパンパンに詰まっている。

開けると仕舞うのに時間が掛かるんです、(・へ・)ハイ。