ソウルでは街のなかを網目のようにバスが走っている。
大きな通りにも 小高い場所にある小さな町にも。

わたしはいたるところでどこに向かうのかもよくわからないバスに乗り込んで
流れていく景色を眺めるのがとても好きだ。













どこの国でも在りそうな通り沿いの食堂で1日の仕事を終えた知らない人たちが 温かい湯気のたつ食事をとったり
そこで交わされる何気ない日常の会話を想像したりする。













家路を急ぐ人たちがふと見あげる空の高さとか その人を待つ家の温度とかを思い浮かべたりするのが好きだ。



知らない人たちの知らない生活がそこにはあって バスの速度で流されていく。


あぁ 知らない国にいるんだなぁとおもって 東京のことをすこしだけ懐かしく想ったりする。















そう バスに乗ることはとても懐かしい気持ちにさせられるのだ。
懐かしくて 適度に心細い。


おなじバスに揺られている人たちがおなじように心細くみえて ほんの少し近しい気持ちになる。



そしてそれぞれがばらばらに降りていくところまで
それはまるで人生にとてもよく似ているとおもえたりする。


















撮影地:ソウル特別市東大門区