「こんにちは、いらっしゃいませ」、今時どこのコンビニへ行っても大体そう言う。マニュアル通りとは言え、「こんにちはー」なんて、初対面の若い女性が言ってくれるのだから、いい時代ではある。今の若い人たちは、それが当たり前だと思っているだろう。だがそうではなかった時代もあるのだ。日本が戦争に負けて、食べる物を筆頭に、物が何もなくなってしまった時だ。そうなるとどうなるか。商人が威張っていたのだ。売ってやるという姿勢。ボクらは小さくなって、売っていただいていた。近くの乾物屋のオヤジはふんぞり返っていた。あそこのオヤジは、おっかないということで有名だった。一番威張っていたのは米屋だった。それは米が枯渇しており、なかなか手に入らなかったからだろう。当時はお米の券がないと米は変えなかったのだが、券があっても米屋のオヤジはおっかなかった。商店のオヤジさんというより、配給屋のオヤジと言った方が正しかったのかもしれない。物の溢れている今は、良き時代なのである。