ももクロのミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』
れにちゃんが神回と言っていた10月7日昼公演を見てきました。
10月8日の公演で終わり、千穐楽を待って、迷惑のならない邪魔にならないと思いますので書くことにします。
最初に簡単な感想を書けばまあまあ、及第点のまあまあ。
合格点のまあまあではありません。
食い足りない。
分かりづらい表現ですがwww
ももクロの4人がミュージカルに挑戦といっても、ミュージカルは一朝一夕に出来るようにならないですし、ももクロの4人は毎日忙しいので、過度に期待出来ないと覚悟をして観に行きました。
更に成長してもらって、次回に期待という感じでしょう。
救いだったのはシルヴィア・グラブさん、妃海風さん他、同じステージに立ってくださった男性・女性のキャストが、歌もダンスも上手かったので、ミュージカルとして及第点に届いたと思います。
不満のなのは、劇台本と演出です。
ステージの簡単な説明をすれば、舞台後方に立体的な足組と階段が左右にある。中央にせり上がりと床がクルクル回るステージ。
大道具、小道具の類のセット、書き割りも一切ない。空舞台
かなり演劇玄人向けのステージです。
衣装はそのシーンそのシーンごとに換わりますが、
うーん…衣装でシーンの背景を想像できたか、といえば難しかったと思います。
4人が車に牽かれて事故死するシーンが分かりずらかったです。
4人で楽しくダンスをしていたと思ったら、突然の暗転。
暗転の前のシーンは、車道? 横断歩道上?
ぶつかる音、ガシャンとガラスを割れる音、暗闇の中でニュースを読み上げる声、ヘリコプターの音。
死んだことなってる゙……。車の事故? ビルの高層階からガラスが降ってきた? ヘリコプターが落ちてきた? 分かりづらいです。
舞台中央に立っていたモノリスは格好良かったです。
『PARCO Presents』と文字が浮かび上がったのはカッコイイ(笑)
次に、ステージに照明が点いたらカナコがあの世を彷徨っているシーンになります。これも分かりづらい。まあ「死んだ」とニューズで言っていたのだがら次に連想するのはあの世か天国だろうけども。せめて4人で肩を抱き合う形で三途の川を渡るシーンを入れませんか。
カナコの台詞じゃないけど、夢の中? と見えてしまいます。
カナコが「転生の鍵」を手に入れて、番人の元から逃げて、シオリ、アヤカ、レニの元に向かう訳だけど。
シオリの登場がいきなりのウェディングドレス姿。
自分の意思で結婚を決めたなら20歳以上と思われる登場の仕方。カナコが17歳か18歳、シオリが最低でも20歳以上。もし30歳目前の29歳なら、カナコのシオリは10歳以上の年齢差。拐かされるかな。
社会人経験約10年から4年制大学卒業で7年あるはず。
「一緒のダンスしようよ。私たちは前世で一緒のダンスチームだったんだよ」と見ず知らず女子高生に言われて。
まあ、高校3年生で親の決めた男性と結婚するという設定らしいけど。
ありえねぇー。今時ありえねぇー。
なぜ政略結婚と思うかというと、途中一回でも結婚相手の男性の顔を思いことも、姿を思い出すことも、どうしているかしらと涙することも無かったです。マリッジブルーだからと悩むことはあっても、愛情が無い、相手を想うことがないとすれば、政略結婚しか思い浮かばない。
私の頭では。
次に高校演劇部のアヤカの元にカナコは現れます。
この高校演劇部が最低。部員が最低です。
二年生の新部長のアヤカの元に活動しているのが、7,8人の一年生部員。三年生は先の演劇コンクール全国大会を最後に全員卒業している。二年生部員は劇の初めからアヤカ以外いない。多分来年の大学受験に向けて現役合格を考えて予備校に通い始めて、部長のアヤカ以外は幽霊部員の模様。
残る一年生部員は「先輩たち頑張ったけど、大会で何の賞も貰えなかったじゃないですか。あんなに頑張っても無駄だったじゃないですか。週二回くらいの練習(部活動)で好いんじゃないです。それと真面目に汗しながら演らなくても好いんじゃないですか」と全員でいう始末。やる気ゼロ。アヤカが卒業したら演劇部廃部するんじゃない?
それとアヤカの進路希望が、文学座に俳優座だったかな? 平田オリザさんの青年団だったか。
今どきじゃない劇団を受験すると、進路希望を学校の先生に書いて提出した設定だったです。
劇団☆新感線とか宝塚歌劇団とかのほうが今どきで、妃海風さんとの絡みで、「宝塚を高校卒業してから受験では遅くない?」「貴女の歌とダンスで、宝塚に受かると思ってるの?」と意地悪い会話があっても面白かったんじゃない? 「宝塚を記念受験されても困るのよねぇ。まったく、毎年、記念受験も多いって聞いてるわよ」とかもあったりwww
次にレニの元にカナコが現れます。
多分、老人医療を専門的に引き受けている病院か、終末医療を担っているホスピスだろうと思います。
ここでもレニ以外の看護師のほとんどがやる気ゼロに見える。
「週末にホットヨガに通う予定があるので、シフト代わってもらえますか?」とか
「○○のお婆ちゃんと相性が悪いんで、担当代わってもらえますか?」
とか
「最近、お休み貰ってないんで、旅行行きたいから週末に(纏まった)お休み頂いてイイですか?」などの、自分勝手な同僚のしわ寄せを受けて、全部自分で引き受けるレニと、レニ以外の看護師たち。
沖田×華さんという漫画家が描いた『お別れホスピス』くらい参考にしようよ。ノンフィクションでホスピスを書いた本も沢山あるし。
シーンの描き方としてちょっと酷いとおもいます。
自分勝手な看護師たちに好いように利用されるレニ。もしくは真面目が長所だけど、今どきの調子の良い子たちに馬鹿にされ好いように利用されるレニ、というのを描きたいんでしょうね、たぶん。
でも、ここでのホスピスの描き方が軽薄だったので、第二部でのクライマックスのレニの葛藤もイマイチになったんじゃないかな。詳しくは第二部の感想の時に書きます。
最後はカナコの人物設定にも不満があります。
まさにカナコは、劇の中の潜在的な意味で「天使」のような存在です。
百田夏菜子は「天使のようだ!」とする比喩もあるでしょうけど(笑)
カナコがシオリ、アヤカ、レニの元に行って「ドゥユ、ドゥユ、ドゥ・ユワナ…」と歌い出せば、3人とも不思議に踊り出すなんて堕天使の所業としか思えない。もしくはメリー・ポピンズ?
それになぜ、カナコがそこまでダンスに拘るのかが分からない。
家に帰りたくないのはなぜ? 父や母や兄弟たちに会いたいと思わないのはなぜ? 家も家族もいない子なの?
ダンス以外の未練はないの? ダンスを踊る以外の夢や希望はないの?
クライマックスまで、最後まで明らかにされません。
一人、過去も未来の希望も最後まで分からない登場人物です。
主役なのにね。
第一部のクライマックス。
四人がカナコが持っている「転生の鍵」で、アイドルグループ『HEAVEN』に成るオーディションの場面へのジャンプした瞬間にも不満があります。
アイドル”歌手”グループに、なぜ転生するのを選んだの?
4人のダンス部の仲間がしていたダンスは、いま流行の「チア☆ダン」か、大阪府立登美丘高校ダンス部、同志社香里高校ダンス部のようなダンスか、ヒップホップの全国大会コンテストを目指している設定ではないの?
歌って踊る、高校ダンス部の全国大会って何?
それで思うのだけれど、アヤカにミュージカル要素のある劇団の進路希望を持たせることによって、アヤカの「圧」とカナコの強い”希望”、レニが全ての人を笑顔にしたいという心が合わさって、折衷案として「アイドルグループ」に転生したという風にしたら良かったじゃないの?
第二部に続く不満ですが、まだ第一部のうちなので書きます。
転生した先はアイドルグループのオーディションではなく、
強力なライバルグループと同じステージに立たされた処から始めたほうが良かったんじゃないかな。
AKB48のようなグループが『ヘビーローテーション』もしくは『恋するフォーチュンクッキー』を目の前で歌っているとか、モーニング娘。のようなグループが『LOVEマシーン』もしくは『恋愛レボリューション21』を目の前で歌っているとか。そのアイドルグループが歌う終わると、観客が後ろに下がって行く、もしくはトイレ休憩、軽食タイムを取りに客席には誰も居なくなってしまった。レニあたりがセリフで観客が引き波のように引いていったと言ったあと、マネジャーの坂上(妃海さん)に押し出され、ドキドキのままステージに立たされた。一曲目の『走れ!』で徐々にか、一気に観客の心を掴んだといった感じにラストをもってきて、第一部終了。休憩という感じが良かったと思います。
なぜなら第二部から始まる『HEAVEN』の物語で、肝心のHEAVENに好感が持てなかったです。
HEAVENの歴史が早足だったこともあって、上手くいきすぎているのもあり、ももクロとダブらないです。デジャブ感は沢山ありますけど。
もし現在、現実に存在したアイドルグループがももクロではなくHEAVENだったら、私は七年前から彼女たちを応援していなかったでしょう。スルーしてます。見てて応援の甲斐がない、つまらない。
「俺らが支えるHEAVEN(かなこ)」の思いにならないからです。
つづく