こんにちは。自治体法務研修講師の奥田泰章です。今日も行政不服審査のお話が続きます。


本案審理は、原処分が違法又は不当かどうかについて審査庁(審理員)が行うのでしたね。


本案審理でも、要件審理と同様、書面審理主義が採用されています。では、どのような書面が対象となるのでしょうか。


まず、審査請求書。審査請求人は審査庁に審査請求書を提出し、原処分が違法又は不当である旨を主張しているはず。証拠書類が添付されていれば、これも対象です。審査請求書は処分庁に転送されます。


次に、弁明書と証拠書類。処分庁は、審査請求人の主張に対して、審査庁(審理員)に弁明書と証拠書類を提出し、原処分が適法・妥当であること(違法・不当でないこと)を主張立証します。弁明書は審査請求人に転送されます。


そして、反論書。処分庁の主張立証に反論のある審査請求人は、審査庁(審理員)に反論書を提出できます。反論書は処分庁に転送されます。


弁明書と反論書は繰り返し提出されることがあります。


弁明書は、処分庁が審査庁である場合にも提出が義務付けられています。


自己から自己への弁明?


なんとも不可思議ですが、審理員審理の場合に審理員は原処分の詳細を知らないこと、また審査請求人に反論の機会を与える必要があることからの措置なのでしょう。


書面審理主義の例外として、書面審理を補うために、審査請求人は口頭意見陳述ができます。あくまで意見陳述にとどまるのであって、口頭審理ではないとされています。


処分庁にも出頭が義務付けられているのに?これはプチ口頭審理ですね。非公開ですが。


そのほか、審査庁(審理員)は、証人や当事者を呼び出して、証人尋問や当事者尋問ができます。現場検証もできます。非公開ですが。


こうして原処分が違法又は不当かどうかの結論が得られたら、本案審理は終了です。



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