日銀が利上げを決定。やっぱり間違いを繰り返すのか

ついに、やってしまいました。

6月16日、日本銀行は政策金利を0.75%から1.0%に引き上げることを決定しました。

1%の金利水準は、31年ぶりです。

このブログでは以前、こんな記事を書きました。

「インフレ、本当に起きる?―30年失敗し続けた日本が、なぜ今回は成功すると言えるのか」

そして続編として、

「利上げ議論が始まった。やっぱり『負担増に備えろ』が正解だった」

も書きました。

「議論が始まった」と書いたばかりなのに、もう決定してしまいました。

率直に言います。私は、今回の利上げは間違いだと思っています。


本当に、今が利上げの局面なのか

日銀が利上げの理由として挙げているのは、「中東情勢の影響で物価の上振れリスクが高まっている」ということです。

しかし、ここで立ち止まって考えてほしいのです。

物価が上がっている原因は何か。

中東情勢によるエネルギー価格の上昇、世界的な食料品価格の高騰——これらは、金利を上げても解決しません。

日本国内の需要が過熱して物価が上がっているなら、利上げで需要を冷やす意味があります。

でも今は違う。

外からのコスト上昇が、家計に転嫁されているだけです。

そして重要な数字があります。

食料品とエネルギーを除いたいわゆる欧米型のコアインフレ率は、1%程度にとどまっています。

欧米では、食料品とエネルギーを除いた指標こそが「経済の体温」を測る本質的な数字とされています。その数字が1%。

これのどこが、利上げが必要なインフレなのでしょうか。


実質賃金は、まだ上がっていない

もう一つ、見落としてはいけない事実があります。

実質賃金が、十分に上がっていないのです。

名目の賃金が少し上がっても、物価の上昇がそれを上回れば、実際の購買力は下がります。

つまり今の日本の家計は、

  • 食料品の値上がりに直面し
  • エネルギー代の高騰に直面し
  • 社会保険料の増加に直面し

それでも実質的な手取りは増えていない、という状況です。

そこに、住宅ローンの負担増が加わります。

日本の住宅ローン利用者の約7割が変動金利を選んでいます。今回の利上げで、毎月の返済額が増える家庭が続出します。

苦しい家計に、さらに追い打ちをかける。

それが今回の決定の実態です。


30年間の教訓は、どこへ行ったのか

私がこのブログで繰り返し書いてきたのは、一つのシンプルな問いです。

「30年間うまくいかなかった日本が、なぜ今回は成功すると思われているのか」

バブル崩壊後、日本はあらゆる政策を試みてきました。それでも大きな成長を実現できなかった。

そして1997年、消費税を3%から5%に引き上げた直後、景気は大きく失速しました。2014年も同様です。

需要を冷やす政策が、景気の腰を折る。その経験を、私たちは何度も見てきたはずです。

利上げもまた、需要を冷やす方向に働きます。

また同じ失敗を繰り返すのか。

そう思わずにはいられません。


では私たちは何をすべきか

怒りや落胆は、いったん置いておきましょう。

政策は決まってしまいました。変えられないなら、自分の行動を変えるしかありません。

前の記事でも書きましたが、今の時代にやるべきことはシンプルです。

  • 固定費を見直す。 住宅ローンが変動金利の方は、固定金利への切り替えを検討する価値があります
  • 生活防衛資金を確保する。 手元に最低3〜6ヶ月分の生活費を現金で持っておく
  • 余裕資金を長期・分散で運用する。 焦って動くのではなく、淡々と続ける

「インフレに備えろ」でも「負担増に備えろ」でも、結局やることは同じです。

ただ今回、一つ付け加えたいことがあります。

変動金利の住宅ローンを持っている方は、今すぐシミュレーションをしてください。

金利が0.25%上がると、毎月の返済額がどう変わるのか。それを把握したうえで、次の手を考える。まずそこから始めることをお勧めします。


まとめ

日銀は利上げを決めました。31年ぶりの1%水準です。

理由は「物価の上振れリスク」。しかし食料品とエネルギーを除いたコアインフレは1%程度。実質賃金は上がっていない。

今が利上げの局面だとは、私にはどうしても思えません。

30年間、日本は何度も政策の失敗を繰り返してきました。今回もその轍を踏むのではないか——その懸念は、残念ながら現実になりつつあります。

私たちにできることは、嘆くことではなく備えることです。

足元を固め、淡々と動く。それだけです。


前の記事もあわせてどうぞ: 「インフレ、本当に起きる?―30年失敗し続けた日本が、なぜ今回は成功すると言えるのか」 「利上げ議論が始まった。やっぱり『負担増に備えろ』が正解だった」