19回目 三相Y-Δ回路
13回目から三相回路を検証していいますが・・・

三相Y-Y回路で3相平衡電源回路、相電圧、線間電圧、相順、
電位、電圧の向き、電流の向きなど について説明しました
が、三相YーΔ回路も合わせて理解する必要があります。
もしこの項の理解ができないようでしたら、13回目に戻って
検証をしてみて下さい。
では ーーー 三相Y-Δ回路 ーーの検証に取り掛かります。
-----例題ですーーー
相電圧115vの三相平衡電源に 負荷 インピーダンス
Z=5.75+J10(Ω)をΔに結線として電源に接続をした。
力率(含む力率角)及び相電圧、線間電圧、Δ電流、線電流
等の値とベクトル 及び三相電力の値とベクトルを示せ。
ーーー以上が問題ですーーー

老いぼれ親父の電気工学

題意から、1図の回路が描けます。相電圧Ea,Eb,Ec
とするとそれぞれ点Oより点a,b,cの方が電位が高いので
矢印は点a,b,cに向かいます。相順をa,b,cとすれば
線間電圧Vab、 Vbc、 Vcaの矢印(赤で表示)は表示
とうりです。又線電流Ia、Ib、Icは電源側から負荷側に
向かう矢印となります(又は電源の電位の高い点a、b、cから
出て行くと考える)。ZのΔ電流I1、I2、I3は相順
a,b,c(a’,b’,c’)ですので、矢印(電流は電位の
高い方から低い方に流れる)の方向をピンクの方向に
決めます。それぞれの矢印の方向を「正」の方向と
決めます。
負荷Zは2図のベクトルになり、題意からR=5.75Ω、
XL=10Ωの直列負荷と認識でき Zの値は11.5Ωと
なります。ZとRの関係から R/Zで 力率0.5
(50% おくれ:+J10(リアクタンス10Ωですので 
おくれになります)で力率角60度となります。
ここらまでが、、問題を解く前提の能書きになりますか?ー
ーーーーでは・・
3図で、、 3相平衡電源ですので、相電圧Ea、Eb、Ecは
Eaを基準にすれば各相電圧は120度ずつ位相がずれて
なお値が同じですので黒で表示、又線間電圧は相電圧より
30度進み なお√3倍の値になり 赤で表示となります。
(線間電圧Vab=Ea-Eb、Vbc=Eb-Ec、Vca=Ec-Eaに
なります: 線間電圧の説明は 「16回目」 に記述して
ありますので再度確認下さい )

つぎは Δ電流です(先にΔの一相のZの値11.5Ωが求まって
いますので:一般的に負荷側から検証します)そこから
I1を求めます。負荷Z(a' b'間)は電圧Vabが掛かってい
ますので、
Vab=I1*Z から求めます。Vab=200v、Z=11.5Ω
ですので I1=17.4Aとなります。そのベクトルが4図
になります。Vabを基準に描いてありますが、Vabから
I1は60度おくれている事を読み取ります(ここが間違
いやすい)このI1角度 60度(Vabから60度おくれる)
を3図のベクトルで描きます。
あくまでもI1はVabから60度おくれる描画となります。
(Eaから60度おくれる訳ではありません)
I2、I3も同じように考えて描きます。3図を再度検証して
みて下さい。

次は5図です(回路の電流を3図から抜き出したベクトルです)
線電流Ia Ib IcはΔ電流から求めます。
点a'で  Ia+I3=I1(流入する電流と流出する電流は等しい)
 移項して  Ia=I1-I3   同じく点
点b’で Ib+I1=I2 移項して  Ib=I2-I1 
点c’で Ic+I2=I3 移項して  Ic=I3-I2  になります。
 
 上記によりベクトルを描画すると 線電流がもとまります。
値はΔ電流の√3倍になります。

6図が電力のベクトルになります。皮相電力、有効電力、
無効電力の関係は電力のベクトルとうりです。皮相電力
は電圧と電流の積、有効電力は皮相電力に力率を乗じた
値です。一相分の電力を3倍すると三相電力にもなります。
(※皮相電力の記号はなんでしたか??忘れました)
ーーーーー解答ですーーーーーーー
力率(含む力率角)力率0.5(50% おくれ):60度
相電圧 115v(題意から)
線間電圧 200v
Δ電流   17.4A
線電流   30A
三相電力の値
1)皮相電力) 10390VA
   =√3*30A*200v=10390VA
 又は=3(三相分)*17.4A*200v=10390VA
 (端数の処理の為誤差あり)

2)有効電力) 5196W
   =√3*30A*200V*0.5=5196W
 又は=3(三相分)*17.4A*200v*0.5=5196W
 (端数の処理の為誤差あり)

3)無効電力 8997var(無効電力の解法は6図の関係から
  求める外まだ方法がありますので、研究してみて下さい)
   
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3相平衡回路ですので、線電流、Δ電流、相電圧、
線間電圧の各ベクトル和は0となるはずですので、確認をお勧
めします。
 「複素数の直交座標表示をすると確認できます」

ここまでは是非一度検証をしてみて下さい。
「不平衡の三相回路ですと各ベクトル和は0にならない
所も出てきますので、、是非・・・」
 「複素数の直交座標表示をすると確認できます」

また ・・つづく