17回目 YーY回路で中性線は必要か?

問題です
相電圧120v、対称三相Y電源に 20<30度(Ω)の
インピーダンスをY接続した負荷を繋ぎ、電源と負荷の中性点
を接続した。
回路の力率、線路電流と中性線の電流を求め、相電圧、
線間電圧及び各電流のベクトル図を示せ。
ーー以上が問題ですので、題意に沿って回路、1図を描きますーー

老いぼれ親父の電気工学

相電圧(電原:120v)は各点abcに向かう矢印(正の方向)とし、
Ea、Eb、Ecのそれぞれ値は同じで120度ずれて(位相差)、なお
相順はabcとすると、ベクトル(4図)となります。各線電流は電源
から負荷に向かう矢印(正の方向)とし、電源と同じ矢印
の方向となります。線間電圧は上記、相順はabcと
したのでVab、Vbc、Vcaの矢印(正の方向)は赤の線で表示した
とうりです。
負荷Zは20<30度 ですので 複素数(直交座標)で表示すると
Z=17.3+J10(Ω)となりますので、R=17.3Ω と XL=10Ω
の負荷が直列に接続されている事を認識できます(2図参照)
(Z=17.3+J10(Ω)の 17.3は 20*cos30度=17.3Ω
 10は 20*Sin30度=10Ω で計算できます 又
 +Jは 角度が30度(+30度)ですので +Jです。
 (ー30度:マイナスの時には ーJとなります)

ここらまでが題意から回路を描いて線間電圧(Vab、Vbc、Vca)
等の問題を解く前提となりますので、作図も含めて理解する
まで検証をして下さい。
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では解答まで順に追っていきましょう
対称三相電源に対称負荷が接続されていますので(対称三相回路)
一相分で計算た後、三相に割り当てます。

インピーダンスZは2図の関係になり、複素数(直交座標)の値は上記の
Z=17.3+J10(Ω)になります。一相分をぬきだしすと3図
(閉回路 a、a’、O’、O)になり、回路電流Iaは6Aとなり、
相電圧Eaから30度おくれています。そのベクトル図は5図となります。

題意の相電圧120vは 対称三相Y電源から Ea、Eb、Ec のベクトル
は4図に示したとうりですが、線間電圧は
Vab=Ea-Eb、Vbc=Eb-Ec、Vca=Ec-Ea でもとまり
それぞれの相電圧から30度進むベクトルとなり、値は√3倍
(208v)になります(赤で表示)又
各、線電流は5図のIaを参考に Ib、Ic(値はIaに同じ)も
相電圧Eb、Ecから30度おくれで描きます(青で表示)

最後に中性線の電流Inを計算する事になります・・・
1図の回路で 点O'にIa、Ib、Ic が電源側から流がれこんで
来ますので、その合計がIn(矢印とは逆)が電源側に戻ると
いう訳です。  In=Ia+Ib+Ic を計算します。
当然ベクトルの加算となりますので・・・・
まず 4図のベクトル図から複素数(直交座標)で表示してみます。
Ia=5.2-J3=6A
Ib=-5.2-J3=6A
Ic=0+J6=6A
となります。複素数の加算は実数部どうし、虚数部どうしの
計算になりますので、In=0+J0=0Aとなり
中性線には電流はながれない事になります。

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ここで解答です
回路の力率は 2図の関係から
 cosΘ=cos30度=0.87(87パーセント)遅れ  
線路電流
Ia=5.2-J3=6A
Ib=-5.2-J3=6A
Ic=0+J6=6A
in 中性線の電流は 0A 
(電流が流れない事になることからこの中性線は
必要が無い為にこの線は省きます:通常は)
線間電圧及び各電流のベクトル図は4図です

以上です

つづく