●就業規則:

・常時10人以上の労働者がいる事業場では、作成・届出が義務(労基法89条)。

・内容は労働条件の最低基準を下回れず、労働者への周知が必須。

・不利益変更には厳格な要件(合理性判断)が求められる。

◆ 1. 就業規則とは何か(法的性質)
・労働契約の内容となる「定型的労働条件」を定めた規範。
・法的性質は「労働契約の内容となる規範的効力」を持つ(労契法7条・12条)
・個別契約より 就業規則が労働者に有利なら就業規則が優先。
・逆に、就業規則が労働者に不利なら 個別契約が優先(労契法12条)

◆ 2. 作成義務(労基法89条)
・常時10人以上の労働者がいる事業場は必ず作成し、所轄労基署へ届出が必要。
・「常時10人以上」
・事業場単位で判断(会社全体ではない)
・正社員・パート・アルバイトを含む
・派遣労働者は原則カウントしない(派遣元の労働者だから)

◆ 3. 就業規則の必ず書くべき事項(絶対的必要記載事項)
・労基法89条が定める「必須項目」。


● 絶対的必要記載事項(必ず記載)
・始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、交替制
・賃金(決定・計算・支払方法、締切・支払時期、昇給)
・退職(解雇事由を含む)

● 相対的必要記載事項(定めるなら記載)
・退職手当(支給条件・計算方法など)
・臨時の賃金・賞与
・労働者に負担させる費用
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償

・業務外傷病扶助
・表彰

・制裁(制裁の種類・程度は必須)
・その他全労働者に適用される事項

◆ 4. 労働者代表の意見聴取(労基法90条)
・就業規則を作成・変更する際は、労働者の過半数代表の意見書を添付して届出が必要。
・同意ではなく「意見」でよい。(同意は必要ない。)
・ただし、合意形成が望ましい。
・過半数代表の選出方法が不適切だと無効になる可能性がある(要注意)

◆ 5. 周知義務(労基法106条)
・就業規則は 労働者に周知されて初めて効力が発生する。
 

●周知方法の例:
・社内掲示
・備付け
・サーバー・イントラネットで閲覧可能にする
・電子的配布(PDFなど)
※「閲覧できる状態」が必須。

 単に配布しただけでは不十分な場合がある。


◆ 6. 就業規則の不利益変更(労契法10条)
・労働者に不利益な変更は、合理性がある場合に限り有効。
●合理性判断の要素(判例法理)
・変更の必要性
・不利益の程度
・代替措置の有無
・労使交渉の状況
・他社の状況
・経過措置の有無


◆ 7. 就業規則と労働契約の関係(労契法7条・12条)
・就業規則は 労働契約の内容として労働者に適用される。
・個別契約より不利な部分は無効。
・労働者に有利な部分は就業規則が優先。


◆ 8. よくあるトラブル
・解雇事由が抽象的すぎて無効。
・懲戒の種類・程度が不明確で無効。
・服務規律が過度に広範で違法。
・周知が不十分で効力が否定される。
・過半数代表の選出が不適切で届出が無効扱い。

 

●就業規則の不利益変更の労働判例