メチルというと日本語では「目散る」と聞こえ目に有害な感じがします。

事実メチルアルコールは戦後お酒が手に入りにくい時代に簡単に入手でき、それを飲んで失明した人が多く出たようです。


メチルの原語の意味は「酔っ払わせる」です。

メチルは元来ワインなどの発酵酒を意味するギリシャ語 メチュmethy がラテン語に入ってきて「酔わせる」意味のmethys となったものです。


この語からmethylを造語したのはスウェーデンのベリセリウス(1779~1848)という科学者です。


西洋では紫水晶は悪酔いを防ぐといわれています。

そのため紫水晶(アメジスト)で作られた盃はこの目的に珍重されました。紫水晶を英語でアメジストamethystというのは a(否定)+methyst すなわち、「酔わさないようにするもの」という意味です。



 手の甲あたりに気味悪いコブができ、医者に見せに行ったら「あっ、これはガングリオンですな」っと言われたら大抵の人はドキッとすることでしょう。なにしろ名前が悪すぎます。命取りの「ガン」に「グリオン」といういかにも恐ろしそうなものが付いているわけですから。


「シュ、手術で、ですかぁ」と力なく聞くと「いやあ どっちでも」という間の抜けた答えに事態は大したことないと悟るわけです。


ガングリオンはガンとは全く関係のない良性のコブで心配はいりません。ギリシャ語で神経節という意味です。末梢神経は神経細胞の本体が入った結節がたくさんありますがそれに外観が似ているためにそう呼ばれることになりました。


20~40代くらいの女性に多くみられ手の関節にできることが多いようです。コブの中身はゼリー状の粘液です。放置していても自然治癒することもありますが、美容上の問題や、まれですが痛みやしびれを伴うときは注射針で中身を吸引除去しそのあとは少量のステロイドを注入しておきます。ただし再発を繰り返す場合は袋もろとも手術で切除します。

マヤクは「麻の薬」と書きますがイメージ的には「魔薬」がふさわしい感じがしますね。悪魔のような薬に思われていますから。

しかしマヤクは「麻の中に含まれる薬」という意味なので麻薬で正しいのです。

麻薬は英語ではnarcoticナーコティック。これはギリシャ語のnarkeナルケからきたことばで「麻痺」 「麻酔」を意味します。


麻薬は麻酔作用があり、しかも強力な習慣性やタンデキ性(摂取をやめようとしても自己の意志ではやめられないこと)が生じやすいです。

しかし麻薬は法的には麻薬(及び向精神薬)取締法および政令で決められた化合物のみが麻薬とされているのでその法律に記載されていない麻薬を勝手に用いても違法ではないことになります。


ところで大麻は法的には麻薬ではありません。しかし大麻取締法という法律で麻薬とは別個で取り締まられています。


覚醒剤も麻薬ではありませんが覚醒剤取締法という法律で厳重にい管理されています。


代表的な麻薬のモルヒネはオランダ語morfineモルフィネからきたものです。発見者のゼルチュルナーは睡眠の神・ソムノスSomnosに仕える夢の神・モルフェースMorpheusに因みこの名をつけたといいます。

アヘンはケシの実に傷をつけそこからしみ出る液を乾燥させてものです。英語ではオピウムといいギリシャ語の果汁を意味するオピオンからきています。日本語のアヘンはアラビア語のケシの汁を意味するアフェウンalyunが由来です。

コデインはケシの頭を意味するギリシャ語kodeiaに物質語尾のinをつけたもの。以上代表的な麻薬の言葉の由来説明でした。