当分更新してなくてすいません。


もう少し新作は後になると思いますが、ご了承ください。

第三部 Φ~ダークサイドエボリューション~


第1話 進化



失ったものを数えるな。残ったものを数えよ。
                         -ベニ-・グッドマン



 都内某所。


天気は晴れ。季節は夏の終わりを告げようとしていた。


様々な人が行きかう都市、東京。


 今日も様々な人とすれ違いながら折原章也は1ヶ月に1日の<開放日>を楽しんでいた。


様々な人々とすれ違う中、折原章也は知人の顔を見つけた。


久米克哉、今井瞳、曽我部達樹の3人であった。


そして、すれ違う。


3人は隣の店舗に気をとられて章也に気づいていなかった。


章也も話かけようとはしない。


 すれ違った後、章也は一度振り返り3人の後ろ姿を見た。彼の心は、懐かしさが押し寄せていた。


 思い出に浸っている間に章也お気に入りのカフェに来ていた。


いつものが行きかうのが見える窓際の席に座った。


そして店員にいつも通りコーヒーセットを頼む。


 折原章也が闇に落ちてから3年の月日が経った。


彼は<スタイル>と呼ばれるグループに属している。


<スタイル>とは章也と後3人の計4人を総称して呼ばれている。


 彼が外を見ていると前の席に座る人物が居た。


「BEEか・・・」


「久しぶり~~。<プラン・セントラル>の依頼をして以来だね」


「あぁ」


 章也はコーヒーを1口啜った。


ほろ苦い味が口の中に染み渡る。


BEEは店員にオレンジソーダという飲み物を注文していた。


「お前が来たということは次の依頼か?」


章也が問うた。


「まぁね」


にこっとしながらBEEが言った。


「内容は?」


「今回は仙波財務大臣のSPとして動いてもらうよ」


SP?」


「うん」


「大臣クラスだったら専用のSPでもいるんじゃないのか?」


「あれ?ニュース見てないの?」


 BEEは店のテレビのほうを章也を見ながら振り返らず指差した。


アナウンスが話している。


『次のニュースです。昨日、仙波財務大臣が緊急閣議を終え、官邸を出ようとしたところ襲撃されま


した。仙波大臣に怪我は無かったものの、SPの方、4名全員が重軽傷を負っております。警察は


まだ犯人たちを捕まえるには至っておらず・・・』


「というわけ」


「あの銃は・・・」


「そう、<アスファルト>だよ」


その言葉を聞き、章也は胸の傷が疼くのを感じた。


「あれから1年か」


「そうだね」


 章也は胸に手をやって右肩から腰の左側にまで残っている刀傷を撫でた。


「<アスファルト>・・・」



1日後、<スタイル>が召集された。


そのために折原章也は会議室に向かっていた。


会議室のドアをノックする。すると会議室の中から返事が返って来た。


「どうぞ」


章也はドアを開け、中に入った。


「全員揃ったか?」


中にいた30代半ばぐらいの大人が言った。


彼の名は馬原敏明。<スタイル>の管理者だ。


「あぁ。俺で全員だ」


章也が答えた。


会議室には丸い机が用意されていた。


みなそれぞれの席に座っていた。


「では会議を始めようか」



Φ~ダークサイドレボリューション~第1話 進化 終


次回・・・<スタイル>登場!再び動き始めるそれぞれの宿命・・・


そのとき各々は何を思う・・・

第3話 暗黒へ放たれる光



一週間後



BEEとスカイバードは折原章也に教えた場所にいた。


まもなく約束の時間が来ようとしている。


その場所には1人、また1人と<新たな戦士>が集ってきていた。


「みんなよく来てくれたね」


BEEは、うれしそうな声でそう言った。


(<本命>はまだみたいだけどね・・・)


 その、いわゆる約束の場所には合計14人の人間が集まっていた。


 スカイバードが時計を見ながらBEEに話しかける。


「BEE、残り3分で出発です」


「ああ、そう」


(はやくこい、折原章也)


 そして2分が経った。


「BEE」


スカイバードが強めの声で言った。


「わかってるよ」


BEEは集まった人間を一瞥して言った。


「じゃああのバスに乗ってくれ。出発するよ」


そしてそこに集まった人間はぞろぞろと用意されたバスの中に乗っていった。


 後はバスにBEEが乗るだけになったそのとき、不意に人影が現れた。


その男は高校生ぐらいの顔立ち、そして体格。


(ぎりぎりか)


BEEは顔をニヤッとさせながらそう思った。


そこにいたのは、折原章也だった。



折原章也を含む、新たな戦士達が全員バスに乗り、そして眠っていた。


 バスに乗った直後催眠煙を撒いた。


そして全員眠らした。


今起きているのはバスを運転しているスカイバードとBEEだけだ。


助手席にBEEが座っている。


「こんなに駒が揃うとは思っていませんでしたよ」


スカイバードがそう言った。


「そう?僕は来ると思ってたけど」


それから少し沈黙続きバスの走る音だけが続いた。


 沈黙を破ったのはBEEだった。


「数年後、戦争が始まる」


「戦争・・・ですか?」


「そう。そのための人材補給だよ」


「BEEは本当に<皇帝>の計画通りに第三次世界大戦が起こると思っているんですか?」


その問いを受け、BEEは爪を噛み答えた。


「起こるだろうね」


(第三次世界大戦か・・・。起こるかどうかはあいつが握っているだろうね)


そう思いながら眠っている折原章也の方を見た。


それから2人は目的地につくまで何も話さなかった。



 目が覚めた。一面に広がる真っ白な壁。折原章也は自分の服を見た。


着替えさせられていた。それはドラマや映画で見るような囚人の服のようなもので、これもまた真っ


白だった。床も真っ白。そこには後3人の同じ服装をした人間がいた。


男が2人と女が1人。


みんな目を覚ましたようだった。


「どこだここは?」


男の人間がそう言った。


そして全員立ち上がって白一面の壁を探った。すると不意に真っ白な天井からテレビがおりてきた。


 テレビの電源が着いた。


『こんにちは、みんな』


「BEE!!」


 章也が叫んだ。


「ここはどこなの!?」


女の人間が問うた。


『ここはみんなの練習場だよ』


「練習場?」


『君達にはここで当分の間トレーニングを積んでもらうよ。<闇>に来たんだ。ここは最近まで


いた生ぬるい世界じゃない。殺すか殺されるか、そんな世界だよ』


章也は生唾を飲み込んだ。


(なるほど・・・やっと<核>に来たってわけか・・・)


『そうそう。章也君。君の能力はこっちで預かったよ』


「預かった?」


何を馬鹿なことを、と思い章也は右手で壁に触れた。だが、何の過去の情報も入ってこない。


「どうやった?」


『ひ・み・つ』


テレビ越しにうれしそうにBEEはそう言った。


(これは本当に死ぬ気でこの世界に入らないといけないみたいだな)


章也はこれから始まる<闇>への覚悟を決めていた。


今まで関わってきた友達の顔が頭に浮かんだ。


もう二度と会わないかもしれない人々。



そして3年後。


折原章也は歩行者天国のど真ん中に立っていた。


そして空を見上げる。


雲ひとつない空。


青空。


物語は序章を終えた。



ΦSecond Season~ 完



次回・・・Φ~ダークサイドエボリューション~へ突入!!


折原章也が光を断ってから3年。


闇はさらに進化していた。


その中心には折原章也の姿が・・・・


怒涛の物語、衝撃の第三部へ突入!!