Kindle Unlimitedで「漁夫とその魂」を読みました。
BOOKS桜鈴堂で単話で売られているもの。前に見た時はUnlimitedのラインナップになくて、100円だった気がするんだけどいつの間にかunlimitedになっていた模様。
実はこれは前にも新潮文庫の「幸福な王子 ワイルド童話全集」で読んだことがあるんですよね。そっちだと確か魂の一人称は"わたし"だったので、なんとなく性別のないイメージで読んでいたんだけど、このバージョンは一人称が"ぼく"で言葉遣いもちょっと砕けた感じなので少年っぽくて、また違った印象で良かったです。
人魚が出てくる童話だけど人魚は話の主題とはあんまり関係なくて、なおかつ主人公の漁師は人魚を愛していると言いながら、魂が語る素敵な踊り子の話を聞いて、人魚には足がないからそれを見たいと魂について行ってしまう。それが永遠の別れになるとも知らずに。
なんで迂闊でアホなんだろうと思うけど、その迂闊さと後悔するさまが人間らしさだとも思う。
そのあとでただ愛を叫んでいたとしても白々しいけど、最後に魂を思いやって受け入れるセリフがあることで魂も読者も救われるし、漁師が許される感覚にもなる。
文庫版で初めて読んだ時、最後のくだりで泣いてしまったんだけど、こちらも最後まで読むとやっぱり泣いてしまった。
海の生き物たちを蔑み、呪われていると言い切る神父が、漁師と人魚の亡骸が埋められている場所から美しい白い花が咲いているのを知って、海の生きものたちを祝福する。
その描写が何故か泣けてしょうがなくて。
でも花が咲いたのは一度きりで、二度と花が咲くことも人魚が入り江に来ることもなかったっていう人間への憐憫のない終わり方も好き。
人間に期待しないゆえに偽善を信じない、オスカー・ワイルドの考え方がよく表れているところだと思う。