宇宙の月8日・KIN192黄色い惑星の人
GA B34(Nelahel) / HA B85(Lecabel)
アメリカにヘンリー・ダーガー というアーティストがいました。
(彼がアーティストとして知られるのは死後のことですが)
彼は少しだけ知能障害があり、そのことで幼少期いじめに遭います。
成人して彼は病院の掃除夫として働き、70数歳で亡くなります。
・・・これがダーガーの人生のすべてでした。
数十年間、友人も作らず誰も彼の部屋を訪れることもなく
毎日毎日同じ場所(病院)に通い、そして死んだ。
死後、彼のアパートの大家が荷物の整理の為に彼の部屋に入ったとき
愕然としたそうです。
そこには膨大な量の彼が書いた小説と絵画があったのです。
「非現実の王国で」と名付けられたその小説は
ヴィヴィアンガールズと呼ぶ少女達が悪と戦うという物語。
彼は一生の間、外の世界と交わらずに幻想の世界に生きていたのでした。
彼は自分の描いたものを誰かに見せるつもりなど微塵もなく
ただ描いていたのです。
彼の絵に出てくる少女達には男性器が描かれています。
「ダーガーは女性の身体を見たことがなかったから」という説があるほどです。
真実はもはや誰にもわかりません。
彼の部屋からは、まるで誰かいるかのように会話が聞こえてきたそうです。
実際には独り言なのですが。
私はダーガーの絵が大好きです。
そこには圧倒されるような迫力と生命力とオリジナリティの爆発があります。
決してネガティブさはありません。
だってダーガーは決して自己を否定はしていなかったでしょうから。
(そういう思考が浮かぶほど知能が高くなかった)。
なのに・・・虚しさや悲しさを感じてしまうのですよねぇ。
多分・・・閉ざされているから。
ダーガーの世界は彼だけのためのものであり
彼の幸福に他人は一切関係なくて
私は彼を見ているけれど、彼は決して私を見ることはない。
私は彼とコミュニケーションをすることができないのです
(少なくとも私はそう感じます)。
ダーガーは自分を不幸だとは思っていなかったでしょう。
「ならいいじゃない」とも思うのですが。
・・・いいのか?それで?
なにも求めず
なにも表現せず
なにも分かち合おうとしない。
私はできればお互いに開いていたいです。
交わりたいというかコミュニケーションしたい。
求めて(求められて)
表現しあって
分かち合いたい
※「求める」というのは見返りを求めるという意味ではない
「ありのまま自分を愛する」と
人は自然と自分を開き、そして分かち合われると思うのですが。
(知能の問題から)自我が強くなかったと言われるダーガーですが
でも同時に彼の絵からは強烈な自己主張のようなものも感じます。
それでもやっぱりダーガーの絵はネガティブじゃないんだよねぇ。
う~ん、人間って本当にわからない~。