王女の父が、

亡くなる2か月前のお話です。
 
ある朝、父が言いました。
「親父が夜中にベッドの横に立ってたんだよ」
 
父の話はこうですウインク
 
名前を呼ばれた気がして目覚めると真夜中。
真っ暗な部屋の中、
ベッドの横におじいちゃんが、
立っていたというのです。
おじいちゃんは、
20年以上前に亡くなっています。
再生不良性貧血でした。
 
父が「親父」と声をかけるよりも前に、
おじいちゃんはすっと近くに寄ってきて、
父を見下ろし、
「〇〇(名前)、もういいだろう?」
と言ったのが聴こえたそう。
父は「何が?」と聞き返しましたが、
おじいちゃんはそれには答えずに、
「そろそろだよ」
と言って、しばらく父をじっと見下ろしていました。
よくわからない父が何も答えないでいると、
「俺が迎えに来るから安心しろ」
とひとこと言って、
すうっと消えていったというのです。
 
父は「夢だな爆笑」と笑っていましたが、
王女とY子ちゃんは、
おじいちゃんが父に死期を報せにきたのだと思いました。
 
父は胃癌で余命3ヶ月と宣告されたのに、
手術から5年が経っても元気でした。
しかしその年、
大事故で九死に一生を得て助かりましたが半身不随になって、
車椅子での生活を送ることになりました。
 
骨癌になったのは、
ちょうどそれから5年後のこと……。
 
5年ごとにやってきた、
父の、命の節目。
 
王女は、父は本当は余命3ヶ月で亡くなるはずだったのでははてなマーク
と今も思っています照れ
 
生きたいという生命力と、
寿命とのせめぎ合いが5年ごとに繰り返されていたのでははてなマーク
父はずっと頑張ってきたのでははてなマーク
だから、おじいちゃんが、
「もういいだろう?」と言ったのでは。
 
そうして、
おじいちゃんが迎えに来たのかどうかは、
王女もY子ちゃんもわかりませんが、
父は67歳で天に還っていったのでした音譜