マルチビタミン剤は、現在子供の間でも多く摂取されているが、
アレルギー性疾患の軽減に影響を及ぼすかどうかは未だ不明である。
そこで、8歳未満の子供を対象にマルチビタミン剤とアレルギー性疾患との関連性の調査が行われた。
研究報告は米国臨床栄養学雑誌「The American Journal of CLONICAL NUTRITION」に掲載されている。
研究はストックホルム州、心臓および肺の財団、スウェーデンの喘息とアレルギー協会、
健康管理科学とアレルギー調査のためのスウェーデンの財団等の協力のもと行われた。
研究のデータはスウェーデンの出生コホート研究* から取り寄せた。
研究の対象となった子供は2,423人。
それぞれの親のアンケートから、ビタミン剤の摂取状況、アレルギー性疾患の診断など、
生活要因に関する情報も得られた。
さらに、食物と空中アレルゲンのIgE濃度(アレルゲンに対して働く免疫グロブリン)を
血液サンプルで測定した。
ビタミン剤の使用と健康に関する結果は、ロジスティック回帰* で分析された。
全体的に、5歳あるいはその歳以降にマルチビタミン剤を使用し始めた8歳児までの子供の間で、
マルチビタミン剤の使用と喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹あるいはアトピー性皮膚炎に強く
一貫した関連性は見られなかった。
しかし、4歳以前、あるいはその年齢でマルチビタミン剤をとり始めたと報告した子供は、
食物アレルゲン、およびアレルギー性鼻炎が減少し、アレルギーを持ちにくい傾向があった。
研究の結果、 はっきりとしたマルチビタミン剤の使用量とアレルギー性疾患のリスクの関連性は
不明であるが、早い段階から(4歳未満)のマルチビタミン剤の摂取が、
学齢時のアレルギー性疾患のリスクを減らすかもしれないと示唆している。
*コホート研究
分析疫学における手法の1つ。
特定の地域や集団に属する人々を対象に、長期間にわたって
その人々の健康状態と生活習慣や環境の状態など様々な要因との関係を調査する研究。
*ロジスティック回帰
医学や社会科学で使用される数の統計的回帰モデルの一種