「そういえばオレ、アナタのブログ見たことない」


「…アタシに興味がないんだね」


「…なんかさ。

オレがアナタのブログ読んでたら、

知らないヒトからコメントがあって、

それにアナタがコメント返したりしてるのを見るの、

なんかヤじゃない?」


「どゆコト?」


「例えばオレがブログ書いてて、

アナタが知らない女のコと

仲良さそうにコメントのやり取りしてたら、ヤじゃない?」


「…そうだね」


「だから、読まない」


「それは、アタシのコトが好きだからかな?」


「…知らない」



そんな会話。

どうやらアタシは、

あのコの前でやたらと「~だもん」と言うらしい。


「…そうだっけ?」


「そうだよ」と、からかうようにいつもキミ。


「そんなことないもん」と、アタシ。


「ほらね」と、キミ。


「だって…!」


「だって…なに?」


「…違うもん」


「なにが違うの?」



――だいたい、いつもこんなカンジでアタシが黙る。


「子供だよね」


「そんなことないもん!」


「そうなの?それ、大人のヒトが言うセリフ?」


そう言って、いつもキミは笑う。



――そんなやり取り続けていたら、急に言われた言葉がコレ。


「それ、他の人の前で言ってないだろうね?」




……それは、やきもちなのかしらね。

急な出張で、フェリーで旅立ったキミ。


いつもいつも、突然居なくなる。


この時も。


「港まで送ってくれると助かるんだけど…」


そんなこと、なんで急に言うの?


だけど、それに怒ってる時間もない。


平気な顔して運転した。


「もう、すぐ帰る?」と訊いたキミ。


「ううん、まだ居るよ」とアタシ。


いつもより、なんとなく甘えモードなキミに、ちょっと嬉しくなる。


ギリギリに船に乗り込んで、

窓ガラス越しにこっちを見ているキミを見つけて手を振った。


キミが、右の人差し指で、何かを描いた。



“ハート”



――ビックリ。


後から電話で訊いてみた。


「さっき描いてくれたの、ハート?」って。


「そうだよ」



そんなこと、するんだね。