前回


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- side O






店の名前も内装デザイン、

黒服、キャスト衣装まで決めていい

と、翔から丸投げされていた。


店のコンセプトだけは決まっていたから、

店名以外は直ぐにイメージが湧いた。

期限が迫ってる中、

花の名前を使ってみたらどうか、と

誰だったかが言った。


調べていくうちに辿り着いたのが

グラジオラスだった。


このままカズが目覚めないとしても、

もし、カズの記憶が失われたとしても

俺の愛する人は、

和也だけだという想いも込めたかった。


誰に言うでもない

俺だけが知ってれば 

それで良かったのに。


「・・・女々し過ぎだろ」


湯船に浸かり、

髪を洗い流すカズを見つめながら

独り言ちる。


『もっと・・・愛して』なんて言われたら

止まれなくなるに決まってて。

しかも連休も相まって余計に。

それが金曜日の夜で、

ずっと繋がり続けて

二人とも泥のように眠ったのは

多分、土曜日の午後。

で今、風呂に入っているところ。


だから、今目の前にいるカズの身体には

俺が付けた痕が無数にある。

それを眺めていたら

言わないつもりだった事を言ってしまった事実に

独り赤面しているという訳だ。


「なに?何か言った?」


「いや」


「ふーん」


そう言って、ごく自然に

俺へ身を預ける様な格好で湯に浸かるカズ。


「髪、伸びたな」


濡れて首筋に伝う髪に触れる。


「あぁ、たしかに。・・・どっちが好き?」


前髪を気にした仕草の後

急に俺の方を向いて聴いてくる。


どっち、とは

4年前か、現在か、って事だろう。


4年前は童顔と今より短い髪で

幼さが強くその中に儚さと色っぽさがあったが、

現在は少し目にかかる前髪から覗く瞳や、

仕草に色気が増していて・・・

甲乙付け難い。


「智さん・・・?」


いつの間に体勢を変えていたのか

俺の首に手を回し、跨るように座ったカズが

首をこてんと傾げてくる。


衝動的にカズの唇を塞いでいた。

柔らかい唇、甘い口内を味わえば

互いの昂りは再び熱を帯びていく。


「ぁっ・・・・・・ぁんぅ・・・///


甘い声にカズの最奥を味わいたくなって

そこへ繋がる蕾に指を這わす。


「んんっ・・・ここで、スルの・・・?」


「だめ?」


「ぁっ・・・だめ、じゃない・・・けど、」


「?」


「余所見、しないで・・・今の俺に、集中して・・・///」


耳まで真っ赤なカズ。

自分から昔と今、どっちが好きって聴いておいて

少し不機嫌そうだ。

俺が記憶の中のカズを思い浮かべたからだろう。


「ああ・・・そのつもりだ。

俺は、カズだから好きなんだよ」


「////」






fin.