会社の後輩から噂を聞いて電話で予約も取らずに診察をしてもらいに行った歯医者さんは、
京阪電車の各駅停車しか停まらないO駅から徒歩数分の距離で、バス通りに面したビルの
1階にある立地条件のよい場所にありました。
それほど面積の広くない医院であったことも理由でしょうが、出入り口の自動ドアに近寄ると
すりガラスから見える中の様子は人で溢れ返るような状態で、たいそう繁盛しているような感じ
がしたのでこれなら噂どおり信頼出来る歯医者さんなんだろうと思いながら受付を済ませました。
1時間30分ぐらいは待ったと思います。この後もこの歯医者さんには度々お世話になるんですが
予約をしてもその時間から1時間以内に診てもらえたことは1回もなかったように思います。
確かにパワフルな先生で精力的に大きな声で話をしながら動き回る、体育会系のイメージの
歯医者さんでした。
一晩中眠れなかったほどの歯の痛みは不思議と受付を済ます頃には治まっていましたので、
やっと診察の順番が来て昨晩の状況を説明したと同時に、口の中を観てもらった瞬間に
「あ~親不知やね~。抜いとこか。」「え?何ですか親不知って?抜くんですか?今?」
みたいな調子で親不知は盲腸のようなもので必要がないし、横から生えてきてるから放って
おくと隣の歯にも良くないって事で、その日に抜歯する事になりました。
あっと言う間の結論でしたが、これまで経験が無い上に初めて親不知なんていらない存在と
知ったわけで、私が「先生」と呼ばれる方に対して妙に逆らえない上に根掘り葉掘り聞けない性分
であることも重なって「そんじゃ抜いて下さい。」となりました。
勿論、昨晩の歯の痛みが今晩もやってくるのかと考えると恐ろしくなったのと、満員御礼の
歯医者さんの診療イスで悩んで迷っている暇など、後ろで待っている患者さんを思うと全く
無かったというのも即断の理由だったと思います。
つづく
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