―――……ヨウ…
―――泣くな、カゲ。お前、強いんだろ?
―――で、でも、ヨウっ…どうしよう…
―――お前は忌み子じゃねぇんだ。俺が保証する。悪いのは、こいつらなんだ…
―――ごめんよ、ヨウ……僕のせいで、ヨウはっ…
―――違う、お前のせいじゃねぇよ…カゲは、何も悪くないんだ
―――……どうしよう…
―――大丈夫だ、カゲ。俺が守ってやるからっ…
「行くぜ、お前らぁ!!」
猛々しい声が、幾度も反響する。
何尺何貫あるのかも計り知れぬ大槍の切っ先が、陽の光を受けて眩しく輝いた。
『おおおおぉぉぉぉっ!!!』
それに呼応するかの如く、数知れぬ男たちの咆哮が地を揺るがす。
頂点に達した士気。熱狂の様子が、遠く離れた彼方にまで届きそうな勢いだ。
にかりと楽しげに笑ってみせ、この男たちを束ねる侍大将のような男が、再び声を上げた。
「はっ、なかなかいいじゃねぇか!! その調子で、俺に続けっ!!」
『おおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!』
今度は、それぞれの男たちの持つ槍の矛先が天へと突き上がる。
快晴の空に浮かぶ太陽の光を、槍の切っ先が乱反射した。
眩むほどの光をものともせず、さらに笑みを深くした侍大将が叫ぶ。
「石田軍騎馬槍兵隊隊長、灰咲晴陽!! 晴れ日の下、出馬ぁ!!」
高らかに宣言し、馬にまたがる。晴陽の短い褐色の髪が、晴天の下に翻った。
紅緋の陣羽織をその身に纏い、腕、脚、胴のみに防具を着けた機動性重視の装備。目前に広がる槍兵らの装備より、ずっと急所を露出させたものだった。
地上にもう一つ太陽があるかの如き、槍の乱反射。
それ同様に、再び男たちの咆哮が地平線上を谺していった。
