こんにちは!
今日もamadeus のブログにお越しくださいましてありがとうございます
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Mozart好きが高じ、ドイツ留学中にMozartの生誕地ザルツブルクに押しかけたその足でモーツァルテウム大学大学院に入学、現地で音楽教育家として活動していた amadeus が西洋音楽の素晴らしさをお伝えするブログです。
ブログの成り立ちと経緯はこちら↓
6月も中旬になるというのに例年より過ごしやすい日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私の住んでいる地域は、今日は特にカラッとしてまるで南仏のように爽やかな一日でした。
南仏といえば、私はドイツ留学中に自分への労いとして、アルバイトで貯めたお金で一度だけ訪れたことがあります![]()
爽やかな一日の締めくくりに、私の手の治療記録とともに今日は南仏にちなんだある演奏家のお話をさせて頂きたく、久々に投稿してみようと思います。
同じような想いをお持ちの方や楽器を弾く方の参考になりましたら幸いです![]()
ドイツ留学中の不注意により手を痛めてから10年が経つ今も保存治療を続けております。
ゆっくりではありますが、確実に良くなってきているので嬉しいです。
日本の音大では声楽、海外で音楽教育を学び鍵盤楽器出身ではないものの唯一弾ける楽器(ピアノ)ですら思い通りに弾けない苦しみは、想像を超えるものがありました。
リハビリの為、定期的にホールを借りてピアノを弾かせて頂いておりますが、そのピアノがあまりに素晴らしく、楽器に励まされながら何とか音楽を続けられていることにありがたみを感じます。
手を動かすと痛むため思うように弾けないのがもどかしく、予約の際「今回で最後にしよう!」と毎回思うのですが、弾き終えると ”次は何を弾こうかな” とまた新たなアイディアが沸いてくるので、おそらく私は生きている限り音楽をやめることはないのだろうと思います。
ピアノを弾くとき、手や手首のみならず腕や身体の重心のかけ方に至るまで色々なことに気を配らなければなりません。
全身運動に近いこの諸々を、私は怪我をするまで頭で考えることなく殆ど無意識のうちに行っていたことに気づきました。
少しでも手に負担がかからない奏法を模索すべく、最近は手の構造について調べるなど解剖学的なことも勉強しはじめました。
(写真はインターネットからお借りしました)
私の場合、手首の軟骨が裂けており深指屈筋腱に少しでも力が加わると痛むのでピアノを弾くことは本当はもう難しいのですが、苦肉の策として、”虫様筋を中心に使う奏法に変える” という発想に至りました。
最近では、アンドラーシュ•シフ氏がこのような奏法をなさっていて、力の抜き方を参考にさせて頂いております。
他にもできるだけ手に負担をかけない奏法を探すべく、色々な動画や音源を研究しているのですが、その中でチェンバロ奏者スコット•ロス氏の演奏に感動したのでこちらで紹介させて頂きます。
スコット•ロス(1951-1989)は、アメリカ•ピッツバーグ生まれのオルガン、チェンバロ奏者です。はじめはピアノとオルガンを学びましたが、13歳で渡仏した先で出会った師や歴史的チェンバロから影響を受け、チェンバロ奏者として不動の地位を得るも38歳でこの世を去りました。
主にフランス、イタリアバロック音楽を好んで演奏され、録音も残されておりますが、中でもドメニコ•スカルラッティのソナタ全集の世界初録音は有名です。
何が凄いのかと言いますと、555もの曲をあたかも自分で作曲したかのような演奏で暗譜し、一年足らずのうちに全て録り終えているのです(私がドキュメンタリーで録音風景を確認した限り楽譜をご覧になっていませんでしたが、詳しい情報をご存知の方はコメント頂けると助かります🙏)。
数字で書くと簡単ですが、スカルラッティのこのソナタ、曲ごとに異なるストーリーと個性を持っており一曲仕上げるだけでも並大抵のことではありません。その555曲全てを完璧なテクニックをもって人智を超えた領域にまで昇華させる神技芸は、後にも先にも彼にしかできないでしょう。
しかもこちらの演奏、いかにもそれらしく聴こえるのですが、実はドメニコ•スカルラッティの作品ではありません。スカルラッティ風にロス氏が作曲したものです。
見出しにD. Scarlatti と書いてあるのであまり気に留めず聴いていたのですが、”D. スカルラッティにしてはなんか可愛いなぁ🙄”↓
“556…? スカルラッティのソナタは確か555曲のはず🤔” ↓
“では、これは誰の曲?🧐” となり、よくよく調べたらロス氏が自ら作曲したことが判りました。危うくスカルラッティの曲と思い込むところでした😅
1985年4月にフランスのラジオでロス氏がドメニコ•スカルラッティの556曲目のソナタとしてジョークで演奏されたことから、”エイプリルフールのソナタ” と言われているそうです。
重力に逆らわず、全く無理無駄のない動きから出るクリアで真っ直ぐな美しい音に一瞬で惹きつけられました。
彼の演奏を初めて聴いた時、完璧なテクニックに加え生まれながらに備わっている音楽的流暢さ(音楽性と表現力)に、驚嘆せざるを得ませんでした。
音だけでなく実際に手元を見てみたいという方は、こちらもどうぞ(収録曲は全てD.Scarlattiの作品です)。↓
スカルラッティソナタ全録音について語るスコット•ロス氏を記録した短編映画(仏語)
チェンバロ(クラヴサン)は弦を彈くことで音が発生する為、その特徴から好みが分かれると思いますが、ロス氏はチェンバロ奏者の中でも圧倒的に音質が柔らかいと私は個人的に感じます。
またチェンバロはピアノと違って基本的に強弱はつけられない楽器ですが、ロス氏は指先の振動からごく微細な変化をもって自在にコントロールしているのが伺えます。そのため音量が大きくなっても響きの幅が広がりうるさく聞こえないところが本当にすごいです。
ピアノとチェンバロ、楽器の構造や奏法も全く違いますが、響きの幅を広げる奏法について考えさせられる素晴らしい録音に出会たことに感謝し、今後の糧にしていきたいです。
”もし今もご存命でいらしたらどんな音で弾かれるだろう•••?” と想像しつつ、その素晴らしい断片を取り入れながら、少しでも近づけるように頑張ろうと思います![]()
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amadeus
※動画はYoutubeサイトからお借りしております。動画の持ち主様と私は何の接点もございません。持ち主様の意向により予告なく終了することがありますことを、ご了承くださいませ。






