タイトルがちょっとキツイですが。

どんな結末なのでしょう?



・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!




「ランチでもどう?」


マイクが久し振りにランチに誘ってきた。



メールでは何度か「元気?」のやりとりはあったが

アンはテロの日以降マイクと会っていなかった。



1時間ほど離れたアップステートに住んでいるマイクにとって

マンハッタンに来ることは決心のいることだったろう。

2ヶ月以上経って、もう大丈夫、と思ったのか。




彼には教会に行っていることは伝えていたが

彼と二人きりで会うことができないとは

まだ言っていなかった。



教会のメンバーの誕生日パーティーが次の日にあったので

マイクを誘ってみたところ、嫌がる素振りもなく

「行くよ」と言ってくれた。







パーティーには教会の人以外も何人か来ていて

マイクは数人と楽しそうに話しをしていた。


「アルコールなしでこんなにパーティを

楽しんだのは何年ぶりかな。」



そんなマイクの姿を遠くに見ながら

隣にいたリサ・ジェーンが

「マイクも教会に来たらいいのにね。」

と南部なまりの可愛い声でアンの耳に囁いた。



「マイクがもし来たいならね。」

アンはどうも教会に人を誘うということに抵抗があった。



見ず知らずの人に声をかけて教会に連れてきている人もいた。

この教会に来れば、皆が救われる!

そんな言葉を何度も聞かされたが

この教会でなければいけないというところに

アンは違和感を覚えていた。





それから1週間程してまたマイクから電話があった。


「俺、マンハッタンに引っ越すことにしたんだ。

今、アパートの契約が終わったところ。これから会える?」





マイクがマンハッタンに引っ越してくる?

予想もしなかったことだったので

アンは驚いてすぐには声が出なかった。



「本当に? でも、、、

私男の人と2人では会えないの。

明日の礼拝に来てくれたら会えるんだけど。」



無意識でそんなことを言っていたが

結果的にはマイクを教会に誘ったんだわ、私と

自分の行動を客観的に見て

何故か良いことをしたように思えた。




実は今ではマイクへの思いはかなり小さくなっていた。

あの同時多発テロ事件以降

恋愛についてはあまり考えなくなっていた。



ただ、マイクも教会に来てくれたら嬉しい

という気持ちはあったのは確かだった。



「わかった。じゃあ、明日行くよ。」

マイクはあっさりと誘いにオーケーしてくれたが

アンは半信半疑だった。




次の日

マイクが本当に教会に来てくれのは意外だった。




教会といっても学校や会館で礼拝するので

十字架などがなく

リードしているのが若い人達ということも

来やすかったのかもしれない。



礼拝が終わったあとのランチにもマイクは

参加して、仲間と楽しそうに過ごしていた。



それを見たリサ・ジェーンが

「マイクはこれからも教会に来るかしら?」

とアンよりもワクワクしているようだった。





その夜マイクから電話がかかってきた。



「アン。今日はありがとう。

実は君のことが最近すごく気になってたんだ。」



そして一息ついてから

マイクは落ち着いた声で言った。

「彼女になってほしい。」




アンは思わぬ告白で

心臓が止まるかと思うほど驚いた。




「でも無理よ。教会の人としか

付き合えないもの。」



心の奥で苦しくなるのを感じながら

アンは自分のすべきことを選択して言った。

でもやはりマイクのことは気にはなっていた。




「君をあの集団から助けたいんだ。

あれはカルトだよ。」


マイクは強めの口調ではっきりと言った。





「カルトなんてそんな!私は救われたわ。

みんな良い人なのはあなたも知ってるでしょう?」





アンはマイクに 《カルト》 と言われたのが

ショックだったがスパッと何かが切れたのを感じた。




そして自分が教会に抱いていた

不快感と不信感を隠さずにはいられなかった。




マイクは迷いなく答えた。

「様子を見る為に仲間に会ってみたのさ。

やっぱりあの団体はおかしいよ。みんな洗脳されてる。」




マイクが今まで教会のメンバーに会ってくれたり

教会に来てくれていたのは

アンの為だったのだ。





「確かに教会の人以外と会うと

サタンの誘惑に遭うから

教会の人と一緒じゃないと会わないようにとか

シスター同士で一緒に住みなさいとか

変だと思うこともたくさんあるわ。

自由がどんどん奪われるの。

友達のケイコにもすごく心配されてるわ。」




今まで自分では否定していたものが

一気に溢れ出てくるのを感じたが

同時に不安がこみ上げてきた。




「でも教会をやめるなんてできないわ。

そんなことしたら、闇に落ちていく気がする。

それに、前にやめようとした人を

皆んなで力ずくで止めていたの。

私もやめられないと思う。。。」





マイクはゆっくりとアンに言った。

「僕が君のそばにいるから、安心して。」



自分一人ではできないけれど

マイクがいてくれるならできるかもしれない。

アンは直感で、マイクを信じることができた。





次の日曜から教会へ行かなくなったアンを

どうにか連れ戻そうと

来る日も来る日も教会のメンバーが

家に来たり、電話をしてきたり

しつこく脱退を阻止しようとした。



教会を離れると悪の道へ行くからやめないで!と

大声でアパートの周りで泣き叫んだり



アンの為に祈っているからと

何時間もアパートの前で

歌を歌ったり祈ったりして

近所に迷惑をかけたりもした。






マイクは言葉通り

いつもそばにいて助けてくれ

アンはしばらくマイクのアパートで暮らした。




気がつけば、教会に行かなくなったのは

あの占い師のところに行った月と同じ12月だった。




たまたまだったのか

魔術のおかげなのか



魔術の後1年かかったが

アンはマイクと付き合うことになった。




アンは以前から、アンの所属する教会はおかしいと

心配してくれていたケイコに久々に会って

教会をやめたと報告した。



ケイコはアンに抱きついて

自分のことのように喜んでくれた。

そんなケイコが今悩んでいることがあるという。




「私裁判しようと思うんだけど。。。」



To be continued....


前回のお話(無条件の愛と囲いの中で)

・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!・・・!


次回はケイコの裁判???