詩人なった10代、恋愛小説家になった20代、30代で何になろう。

詩人なった10代、恋愛小説家になった20代、30代で何になろう。

10代で詩を、20代で恋愛小説を、30代で、また何か書きます。

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セフレのありさ(有紗)はまさに恋人未満友達以上のような関係だった。

うーん、俺の部屋にもばんばんお邪魔してくるのは、もはや家族よりも図々しいともいえた。

布団で寝ていても、布団の中に入ってくるし、甘えてくるような懐っこいような、猫のような関係とも見えた。

 

「ありさ、彼氏は?」

『いないよー、だからいいでしょ?』

「好きでもない男と絡みすぎでしょ」

『別にゆうのことなんともおもってないけど、触ると気持ちいんだもん、落ち着くし』

「俺は、凄い微妙な気分になるけど、遠慮しないよ」

『恐いことしなければいいよ』

「うーん、どこまでが恐いことか、少し試さないと、いけない気がしてきた」

『エッチ。』

「しってたでしょ」

『うん』

「俺も、最後までさせるってしってる」

『優しくね、ゆう』

「ありさ、恐いのいやだもんな」

 

 

「最近、社会人のセフレが、恋人にしてって言ってきて、困った」

『ゆうの正体知ってるのに?』

「知ってるのに…、って俺は、詐欺師じゃないぞ」

『恋愛するにはとても悪い相手だとおもいます、詐欺師だとおもいます』

「ひどいなぁ」

『もっと自覚もって、ゆう、私と寝てる時点でその子可哀そう』

「そうかなぁ。もっと割り切ればいいのにね、別に俺が彼氏じゃなくてもいいでしょ」

『ゆうに惚れるのは、仕方ない部分もあるよ、ゆう優しいもん』

「なんか矛盾してない?」

『私なんか、いまだにその優しさに絡めとられてる節がある…』

「優しさに付け込まれてる節が自分にもあるよ」

 

もちろんこうやって、ともみの話題もでたりしてた。

 

 

女性と付き合うのは、振り返れば、IQが10は上がったとおもう。全く使わないような頭を使うし、全くしないような気づかいをするし、空回り気味に考えてしまう。

セックスしたいだけのクズでも、セックス以外の意味を、恋愛に見出してしまいそうだった。

女性が悲しんでいたら、悲しいし、笑っていたら、凄く嬉しかった。

女性の悲しみは寄り添うことしかできないし、笑わせるほどの腕はなかったけれど。

自分がつまらないなら、面白いところに行けばいい。

方法はいくらでもあった。

 

ともみをナンパした時は、少しだけ体以外に女性に興味をもってきた頃だった。

そこそこセクシーな体のラインで、ちょっとうつむいて歩いていた。

断られたり煙たがられるとおもったけど、話を聞いてくれた。

そのままセフレとして関係をもてたのは、彼女の暇つぶしにはなれたのかなっておもった。

 

ともみはの張る仕事で、疲れていたようだった。

甘えてくる女子はいるけど、社会人に甘えられるのは、わりと悪くなかった。

彼女もわかって付き合ってくれていた。

セフレとして。

そうおもっていたけど。

喜んでいいのか、彼女として扱ってほしいって言われた。

これは、また辛いって言われて嫌われるパターンだとおもった。

おれは悩んだけど、付き合わない選択肢を選んだ。

きっとその方がお互い傷つかないとおもった。

 

 

 

中学でも高校でも彼女はいた。

大学でも、彼女がいたけど、みんな別の女だった。

いつも、最後に振られた。

好きだよと最初言ってくれる。

それから辛いと言われる。

あとは、時間の問題だった。

 

記憶に残る振られたワンシーンがある。

 

「バイトおつかれ」

『ゆう、・・あ、ジュース、ありがとう、公園で少し話す?』

少し風が強い秋の夕方だった。

彼女の体を引き寄せるように肩を抱いて座った。

彼女も気をゆるしたようにもたれていた。

『あったかい…』

「ちょっといい匂いする」

『そんな、汗臭いだけだよ』

「ほら首元とか、唇とか」

確かめるように、顔を近づけて、キスした。

『…ゆう、私のこと好き?』

「好きだよ」

『体が?』

「…」

『なんで黙るんだよ』

笑って怒られた。

『ゆうが、私にとっては、はじめてなんだ、いろいろと』

『だから、よくわかってないかもしれない。私はゆうのこと今でも、全然好き。』

『でも、ゆうは、だめだよ。全然だめだった。寂しくさせるようなことしちゃだめ。これからは気をつけるんだよ、ゆう』

なんだか、お説教を永遠されたけど、彼女の顔とかしぐさを見ながら聞いていた。

別れた男のためなのか、自分の気持ちの発散なのか、可愛いと感じるような彼女の言葉の数々はとても意味あるものにおもえた。

『わかった?ゆう』

「ありがとう、気をつける。…ごめんね」

最後にほんとの別れのキスなのか、彼女から唇に熱く触れた。

『ばいばい』

 

…凄く珍しいらしいけど、今でも、交流があって、相談とかし合っている。