----子供を欲しくなくなる映画
【あらすじ】
少年時代の親友の忘れ形見を引き取ることになった主人公が、その少女の存在によって彼の忌まわしき過去を呼び覚まされ、恐怖に陥るさまを描く。小学校教師ダニエルは同僚でもある妻ラウラとの間に子供ができず悩んでいた。そんなある日彼の前に、幼い頃の親友マリオが突然現われ、“7歳の娘フリアに会ってほしい”と懇願する。しかしダニエルはなぜか、その不可解な願いに応えることができなかった。すると翌日、マリオの自殺が新聞で報じられていた。その後ラウラのたっての願いで、身寄りがなく施設送りとなったフリアを一時的に預かるダニエルだったが…。
【感想(!ネタバレ含!)】
さて、色々言いたいことがある作品でしたが、とりあえず簡単にストーリー説明と行きましょう。
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主人公ダニエルは、幼いころに母親と離ればなれ(死別?離婚)になり、父親は新たな女性と一緒になろうとします。その女性には二人の連れ子がおり、一人はダニエルと同年代の少年マリオ、もう一人はその妹クララでした。
ダニエルはマリオとはすぐに仲良くなることはできましたが、ダニエルの父親にやたらとかわいがられているクララとは馬が合いません。それはクララの実の兄のマリオも同じようで、二人はいつもクララを仲間外れにしていました。
ある日、クララがダニエルとマリオが煙草を吸っている場面を目撃して、それをダニエルの父親と自分の母親に告げ口します。
それに怒ったダニエルとマリオは、遊び半分でクララを墓場の穴に埋めてしまい、クララはその後、崩れてきた土に生き埋めになり死亡してしまいました。
ダニエルとマリオの所業はすぐにばれてしまい、クララの母親(マリオの母親でもある)は、ダニエルとマリオを「化け物!」といって罵り、結局ダニエルの父親との結婚話は破断してしまいました。
それから時がたち、ダニエルはラウラという女性と結婚しましたが、唯一の悩みはラウラに子供ができないことでした。
そんなある日、クララを殺害した共犯者であるマリオがダニエルのもとを訪れ、「自分の娘に会ってほしい」と懇願します。しかし、マリオと会うことで過去のトラウマを思い出したくなかったダニエルはそれを無視してしまいます。
その後、マリオは自宅で自殺を図り死亡しました。
マリオの葬式に訪れたダニエルとラウラ。ここが運命の転換点。
ラウラは自殺したマリオの娘フリアと出会い、あれやこれやで「うちに引き取りたい」と言い出します。
結局ラウラの希望を受け入れたダニエルでしたが、その後、引き取ったフリアに、かつて自分たちのいたずらが原因で死亡したクララの面影を見るようになります。
どんどんフリア=クララという図式を脳内で完成させていくダニエルでしたが、フリアがクララと同じような行動をすることには、実は仕掛けがあったのです。
実は、フリアはかつてダニエルたちを「化け物!」と呼んだマリオとクララの母親、つまり、フリアにとっては祖母にあたる女性に頻繁に面会しており、マリオの母親は、そのフリアを亡き「クララ」と誤認して名前を呼び続け「フリアがクララである」という「暗示」をフリアにかけていたのでした。
そういうわけで、フリアはクララが知っていたことと同じことを知っており、それを見たダニエルは「自分を恨んだクララの魂がフリアに乗り移って復讐しようとしている!」という勘違いを生んでしまったわけです。
ラスト付近、フリアを正式な娘として預かることが決まりかけた状況で、ついにダニエルは行動を起こしフリアを殺害しようとします。
しかし、フリアを溺愛していたラウラが止めに入り、結局ラウラに突き飛ばされたダニエルは崖の下に落ちて死亡してENDです。
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まあ、何と言いますか。
恐らくこの映画を観た何人かの人間は確実に思ったであろうことを、あえてここで言います。
このクソガキが
調子に乗ってんじゃねぇ
自分の立場ってものをわきまえやがれ、ここはお前の家じゃねぇんだぞ
・・・失礼しました。
ですが、映画のところどころでフリアに対してはらわたの煮えくり返る感情を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そもそも、ダニエルとマリオがうっかりクララを殺してしまったのも、たった一人の娘だけを溺愛して、少年二人をほったらかしにしたダニエルの父親とマリオ・クララの母親にも罪はあると思うのです。
そりゃ、自分がダニエルとマリオの立場だったらグレますよ。
妹に殺意だって湧くでしょう。
その妹がもう少し可愛けりゃいいのですが、その妹も保護者相手に「自分は仲間外れにされている、彼らは煙草も吸っていた」と
悲劇のヒロイン気取りで告げ口するようないけ好かないガキです。
正直な話、その妹様がマリオとダニエルにせっつかれて生き埋めになるシーンでも、全く同情の「ど」の字も出てきませんでした。
その妹以上に腹が立ったのが、クララの死の原因を作ったマリオとダニエルに対して「化け物!」とわめいた母親でした。
自分の子供と恋人の息子が「化け物」になる原因を作ったのは誰でしょう?
子供たちが本当に「化け物」なのだとしたら、どうして親である自分は彼らが「化け物」になってしまう前に気づいてあげなかったでしょうか?
自分たちがクララを可愛がる後ろで、無言で書き物をしている少年二人。
少年たちは、明らかなサインを出していた。
それに気づきもせずに、彼らを「化け物」に取り込まれることを許してしまったダメな大人。
私には、泣いている少年二人に対して「化け物!」と狂ったように叫ぶ女性こそ、本物の「化け物」に見えましたね。
そして、そのフリアの祖母と同じ人間に見えたのが、成長したダニエルの妻になったヒロイン・ラウラ。
ラウラは「少しの間だけ」という約束でフリアを引き取ったのに、その後は何があっても夫のダニエルはほったらかし。
夫がフリアに対して怯えの感情を抱いているのを知っていながら、彼に対してはひたすら冷たい態度をとり続けます。
機嫌がよくなるのは、ダニエルがラウラの意見に嫌々ながらも賛同した時だけ。
劇中で何度「いや、もう別れろよ」と思ったことか。
むろん、ダニエルの行動を100%肯定するわけではありません。
ですが、ダニエルが幼少時代からたどってきた足跡はあまりに不憫です。
孤独だった子供時代の過ちを抱えたまま「教師」として罪を償おうとしたダニエルは、クソみたいな祖母の暗示にかかった自称「クララ」ことフリアに過去を掘り起こされた挙句、本物の化け物となって死んでしまいました。
ラスト付近、ラウラの腕に守られながら「(ダニエルは)化け物よ!」と泣きながらわめいていたフリアに対しても、ダニエルの幼少時代の孤独も知らず、一方的な感情を持つ祖母に聞かされただけのダニエルの過去を訳知り顔でいじくりまわしたケツの青いクソガキ、軽はずみに下手なことをするから火傷するんだ馬鹿が。とひっぱたいてやりたい気分でした。
たとえダニエルが責められるにしても、それを行うべきは事件の当事者以外であってはならないのです。
つまり、ダニエルに真っ向から意見出来る人間がいるとすれば、それは、共犯者のマリオか暫定被害者のクララだけです。
(ほんと・・・フリアは死ねばよかったのに(ボソッ))
この主人公のそもそもの不幸は、明らかに女性運がなかったということでしょうか。
せめて結末くらい、どんでん返しでダニエルが幸せになるエンディングにしてほしかったですね。
善人になろうとした人間が、過去に引きずり戻されて悪人になり死んでしまうという後味の悪い、しかも何も生みださない物語でした。
お金に余裕があっても見ないほうがいい作品です。
ストレスだけがたまりました。
