37日目(マニラ2日目)

 マレーシアには行けなかったが、気を取り直してマニラ観光をしてみることにした。地球の歩き方を読むと、カジノとショッピングモールの街だそうである。あまり気が乗らない。カジノはセブで経験があるし、ショッピングモールも日本やセブよりすごいということもないだろう。で、細かく地球の歩き方を読んでみると、世界遺産とか史跡もあるとのことである。そこに行ってみることにした。

 まず世界遺産のサン・アグスチン教会に行く。タクシーを降りてすぐに観光ガイドの勧誘に会う。話を聞いてみると値段も安いし、10箇所以上を案内してくれるとのことである。一人だとどこに行ったらよいのかわからないのも事実なので、ガイドをお願いすることにした。
まず連れてこられたのが、第二次世界大戦でマニラで犠牲になった人々の記念碑。早速重い話から始まった。
 フィリピン人のガイドはこう言う。「爆弾が落とされ、日本のpiratesがやってきて人々を殺した」と。どう考えても爆弾を落としたのは米軍で、人々を虐殺したのは日本軍である。それをガイドはJapanese piratesと言う。
 それはpiratesではないですよ、なんて言えない。とても悲しい話ですね、なんてことももちろん言えない。ただ黙るしかない。何を思ってこの人はJapanese piratesという言葉を使っているのだろうかと思う。

 続いて、フィリピン独立の英雄、ホセ・リサールの記念館や関連史跡に案内される。この人物を知っているかどうかで、フィリピンに親しんでいるかどうかの指標になりそうである。ホセ・リサールは二十代で10ヵ国語以上をマスターしていたそうで、言語学を学ぶものとして尊敬したい存在である。
 また戦跡に案内される。日本軍が拷問と処刑を行ったダムのような場所。重い話だけど、ガイドがいなければ来れなかっただろうし、その意味もわからなかっただろう。
 最後はサン・アグスチン教会に戻って中を見る。バロック建築というのだろうか、建物も、彫像も素晴らしい。ガイドの説明も完璧で満足。
 最後にガイドへ支払い。最初に350ペソと言ったけど、それは30分と書いてあったから、2時間で4倍とのこと。それはいい。けれど、ガイドは運転手と案内人の二人だからさらに2倍とのこと。何だそれ。で、合計3500ペソとのこと。なんか350×2×4の計算合ってなくないか?
 ガイドは完璧で、とても勉強になったのに、最後になんだかボラれた感じで後味が悪い。まあ、マニラだから仕方がない。ガイドはとても良かったし、日本で考えたら妥当な値段なので、チップも合わせて4000ペソ払う。最初から4000ペソと言ってくれれば喜んで払ったのに、なんか残念である。でも、あのガイドの話はまたもう少し英語が聞き取れるようになったらまた聞きたい話だった。