40代から始めた着物ライフ

40代から始めた着物ライフ

2019年秋冬から着物デビューしました。備忘録とこれから始める方の参考になれば。

もうすぐ建て替えの国立演芸場さよなら公演へ。


落語の合間に「紙切り」という芸を披露する色物さんが出ることがあります。人間国宝候補?と評判の林家正楽さんが切ったものは、芸と言うよりも芸術品!と言った方が良い作品です。私もいくつか切っていただいたことがあり、額に入れて大切に飾っています。


さて、今回の公演は若手の楽一という紙切りさんが出演されていました。おそらくそういう芸風なのか、とぼけたような、やる気がないような雰囲気を漂わせて出てきて、座ってからも周りを見渡してキョロキョロ。「え~、ご注文をいただいて……紙を切ります。…え~、ご注文を…」とゴニョゴニョ言っています。

通常紙切りは、まずはハサミ試しで一枚切って、そのあとに客からのリクエストを切ります。


客はみんなそれをわかっているので、切るのを待っていたのですが、「ご注文を…」とゴニョゴニョ言っているので、あ、これはもうリクエストからやるのかな?と思った方が(私もそう思った)、「登り龍!」と声をかけました。


すると、「えー、まずはハサミ試しで切りましてから、それからご注文を受けます。段取りがあるので。」と言いました。

そこで笑いが置きましたが、いやいやいや、あなたがゴニョゴニョ言ってたからでしょ!

私はこの紙切りさんを初めて観たので、若手で慣れてないのかな?じゃあしょうがないか…と思ったのですが。


リクエスト受付になり、ご年配の女性が「浅草サンバ!」と声をかけました。

紙切りさんは口を開けてそのお客さんをただ見ています。お客さんはもう一度「浅草サンバ!」と言う。紙切りさんは「…え?」

お客さんが「ほら、浅草でもうすぐサンバがあるでしょう?カーニバルの…」と説明すると、

紙切りさんはハサミと紙をそのお客さんの方に差し出して、「あのー、自分で切ってください」と言いました。

そこでもなぜか?笑いがおきました。結局(当然ながら)紙切りさんが自分で切りましたが、出来上がりは幼稚園の子供が切ったような、細かさも躍動感も何もないつまらないものでした。(私個人の感想です!)


次のリクエスト。1番前の席の男性が、

「馬風師匠!」と声をかけました。(この日鈴々舎馬風さんが出演されていた)

すると紙切りさんは、「え?」

お客さん「馬風師匠!!」

紙切りさん「え?」

お客さん「鈴々舎馬風師匠!!!」

紙切りさん「聞こえてます」

だって。(ここでも笑いが起きる)


何?このやり取り。

聞こえてるし、言われたものを知ってるし。おとぼけ芸なの?

お客さんに何度も同じ事を言わせて、リクエスト内容を説明させて、みんなに笑わせて、恥をかかせる。

非常に、大変に不愉快でした。


しかも切ったものは下手くそで、何これ?これでお金貰ってるの?も思うような物ばかり。

紙切りさんは人材不足なんでしょうか?

寄席の番組を見ると、色々なところでこの紙切りさんは顔付けされているようです。


師匠方は何も思わないのでしょうか?

正楽さんを見習って、スマートで楽しい紙切りをしていただきたいと思いました。